精製した穀物は
血糖値を急激に上げる

 代謝における食物繊維の恩恵が最大になるのは、デンプン粒の外側全面が「コーティング」されているときだ(球状、すなわち「穀粒」になっているとき)。

 そうなっていれば、腸内の消化酵素は時間をかけて外側を剥がさなければならなくなる。デンプン(内胚乳。ないはいにゅう)は内側にある。外側にはふすまがある。手を加えられていない穀粒は不溶性食物繊維の宝庫だ。外側のふすまを取り除いてしまえば、デンプン(ブドウ糖)しか残らない。

 穀粒を丸ごととり込むと、腸はゆっくりと外側のふすまを剥ぎ取り、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)をおだやかに上昇させ、やがて低いピークに到達させる。

 しかし外側のふすまを加工して取り除いてしまうと、肝臓にはブドウ糖が押し寄せて、血糖値が急速に上がり、高いピークに達する。それはまた、インスリン濃度の高いピークをもたらす。

 そういうわけで、食物繊維から最大の恩恵を引き出すには、手を加えていない全粒を含む食品をとることが必要だ。精製小麦(ナンの材料)や白米は、製粉工場や精米工場で削られて、もはや穀粒ではなくなっている。

[1] M. O. Weickert et al. (2008) “Metabolic Effects of Dietary Fiber Consumption and Prevention of Diabetes,” The Journal of Nutrition, 138 (3): 439-42.

(本原稿は書籍『果糖中毒』からの抜粋です。訳者による要約はこちらからご覧になれます)

著者について
ロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)
1957年ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科教授。マサチューセッツ工科大学卒業後、コーネル大学医学部で医学士号を取得。2013年にはカリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールで法律学修士号(MSL)も取得。小児内分泌学会肥満対策委員会議長や内分泌学会肥満対策委員会委員などを歴任。「果糖はアルコールに匹敵する毒性がある」と指摘した講義のYouTube動画「Sugar: The Bitter Truth(砂糖の苦い真実)」は777万回以上視聴されるほど大きな話題になった。
中里京子(なかざと・きょうこ、訳者)
翻訳家。訳書に『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『ファルマゲドン』(みすず書房)、『チャップリン自伝』(新潮社)ほか。