同じがんの治療費でも
年金生活になると負担額はぐっと減る!

老後資金は厚生年金・企業年金・個人年金で準備したから安心…そんな人を待ち構える落とし穴とは?Photo:PIXTA

 先日、年金生活者向け雑誌の依頼で「年代別のがん治療費自己負担額」の試算をしたところ、興味深い結果になったのでみなさんにもお伝えしたいと思う。

「もし、がんになったら」という特集の中で、がん治療費の一例の表が欲しいという編集部のリクエストがあった。しかし、他誌でよく見る表はどれも現役世代の人の自己負担額であり、年金生活になると、5歳刻みで自己負担額は変わる。

 そのことを担当者に伝えたところ「それ、他で掲載されていないから、ぜひ欲しいです!」と目がキラリ。編集者は「初おろしのネタ」が大好物なのである。私にとっても初めての試算で、ちょっと大変だったがやってみて良かった。

 まずは、その試算結果の表をご覧いただきたい。

 女性雑誌なので患者数の多い「乳がんの治療費」を例にとることにした。横軸に「診断確定、手術前検査などの検査費用」、「入院・手術の費用」、「抗がん剤治療」、「放射線治療」と時系列でまとめ、縦軸に「世代別」を置き、治療グループごとに自己負担額を試算している(健康保険の被保険者の収入の前提条件は表欄外を参照)。

 同じ治療なのに、年齢を重ねるとともに自己負担額が減っていくのが興味深い。自己負担額の最も差が開くのは、6ヵ月間にわたる抗がん剤の治療費で、現役世代はトータル約28万円、75歳以上になると約9万円。その差は19万円にもなる。