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「パラサイト中年」などの報道に思う
レッテル貼りへの違和感

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第107回】

 ゴールデンウイーク中、驚くような言説が続々と出てきて、物議をかもした。

 俎上に上がったのは、「パラサイト中年」という当事者への新たなレッテルをはじめ、「伝統的子育てによって発達障害は予防できる」という条例案、「職場を襲う“新型うつ”」というテレビ番組のタイトルだ。

 それぞれの状態像や現象についての視点について、これまでの自分自身の関わり方も含めて、この3つの「レッテル張り」の出来事から考えさせられた。

親の介護をする未婚者まで
「パラサイト中年」なのか

 5月2日、<「パラサイト中年」300万人>という造語が、毎日新聞1面の見出しに躍った。紙面をめくって2面の見出しには、<「自立 余裕なかった」>、<気づくと40歳 親の年金頼り」>、<高齢の親を独りで介護>などの目を引くコピーが続く。

 記事を読むと、親と同居する未婚者が、35歳から44歳の6人に1人、約295万人に上るという総務省の統計研修所が追跡中の推計を基に、「パラサイト・シングル」を造語した山田昌弘中央大学教授(家族社会学)らのコメントを紹介。そんな「優雅なパラサイト」が中年世代に広がってきていて、「親の高齢化や雇用形態の変化で貧困のリスクを象徴する存在になろうとしている」などと記述されている。

 しかし、本文中に「パラサイト中年」という表現は出てこない。つまり、親と同居する未婚者が35歳から44歳の間で増加したという総務省の統計に、「パラサイト・シングル」を造語した専門家を持ってきたことによって、このような飛躍した見出しが付けられたのだろうということが推測できる。

 それが、2日夕方に流れたフジテレビのニュースになると、画面スーパーに<「パラサイト中年」急増中>という文字が映しだされ、原稿の中でも「パラサイト中年」という表現が繰り返し使われていた。

 さっそく、こうした報道を敏感に感じ取ったのが、実家で高齢化した親と同居する当事者たちだ。

 「どういう基準か定義かはともかく、数字で統計的なデータを見せつけられると、自分は改めて、こういうカテゴリーに入ってしまうんだなって焦ります…」

 40歳代の引きこもる当事者から、こんなメールが送られてきて、これは見逃せないと思った。

 「“パラサイト中年”という新たなレッテルを貼ることによって、何か具体的な解決案が出るのでしょうか。(それらの報道からは)いったい何を問題視して、どう解決しようとしているのかがわからない。そういったカテゴリーで括って、問題視すること自体に無理があるのではないかと思います」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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