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岸博幸のクリエイティブ国富論

違法ダウンロードへの刑事罰導入はどうなる?
“ネットの自由”を強調する反対派に抱く違和感

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第184回】 2012年5月11日
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 国会の話題となると消費税増税法案ばかりですが、著作権法の改正法案を巡っても騒ぎが起きていることをご存知でしょうか。この問題には最近の政策論議に共通する特徴がありますので、今週はこれを取り上げたいと思います。

 なお、最初に情報開示しておきますと、私は音楽業界に関係しています。ただ、以下は政策に携わった経験からの個人的な見解であり、音楽業界から何の依頼も受けていないことをお断りしてきます。

問題の経緯

 最初に状況を簡単に説明しますと、ネット上に蔓延する違法コンテンツ対策として、2年前の著作権法改正で、著作権者の許諾なしにサーバーにコンテンツをアップロードすることを違法とする規定に刑事罰が追加され、同時に、そうしたコンテンツをダウンロードすることも違法である旨の規定が追加されました。だた、違法ダウンロードには刑事罰は課されていません。

 しかし、違法コンテンツがなかなか減少しないことを踏まえ、音楽業界の要請も受けて政治の側が新たな動きを起こしました。

 具体的には、文科省が今通常国会にフェアユース導入などを内容とした著作権法改正法案を提出していますが、自民・公明がそれに対する修正案を提出し、違法ダウンロードに刑事罰を課す規定を追加しようとしているのです。

 この動きに対して、ネットの自由を主張する評論家や専門家はもちろん、当の自民・公明や民主党の一部の国会議員、更には日本弁護士連合会(日弁連)なども強い反対を表明するに至っています。

 本当は今週から国会の文部科学委員会でこの著作権法改正法案の審議が始まる予定でしたが、自民党が問責二閣僚辞任まで国会審議をストップする戦術に出ているため、審議は先送りになりました。いつから国会審議が始まるか分かりませんが、始まったら反対論が更に強まる可能性もあります。

反対派の主張の問題点

 この問題をどう考えるべきでしょうか。私は、政策論的に考えて反対派の意見には問題が多いと思っています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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