URとは何か?
URというのは、都市再生機構のニックネームである。公団住宅を運営していた日本住宅公団が何度か名前を変えて、今に至っている。UR賃貸住宅(旧公団住宅)を運営する賃貸住宅事業や、市街地整備を図る都市再生事業が主な業務である。キャッチフレーズは「街に、ルネッサンス」であり、英文名称を“Urban Renaissance Agency”としているので、URまたはUR都市機構と呼ばれることが多い。
日本には、高度成長期に民間投資を補うため、かなりの官営事業があった。しかし、現在では、市場競争原理を導入することで、コストが下がり、サービスの品質が上がるなら、民営化すべしというのが、先進国共通の考え方である。この考え方にしたがって、専売公社、電電公社、国鉄の三公社は、1980年代半ばに民営化され、それぞれ、JT、NTT、JRとなった。21世紀に入ってからでも、紆余曲折があったとはいえ、郵便局、道路公団が曲がりなりにも民営化されている。
しかし、事情を知る誰もが民営化を検討したくなる独立行政法人が、少なくともまだ2つ残っている。1つは、住宅金融公庫を引き継いだ住宅金融支援機構で、もう1つが住宅公団を引き継いだURである。そこで、事業仕分けで有名になった行政刷新会議の下に、それぞれの組織をどうするかについての調査会をおいて、現在、調査中である。
筆者は、URの調査会(「独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会」)の委員として、URの組織をどうするかの議論に参加している。以下、意見にわたる部分は、筆者の個人的な意見にすぎず、試案・私案も、個人的・非公式・暫定的なものにすぎないことをお断わりしておく。