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世界を巻き込む途上国ビジネス

日本製品はオーバースペック?
ガラパゴス化した、テクノロジー王国ニッポン

中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]
【第3回】 2012年5月15日
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 日本がテクノロジー王国と言われて久しい。しかしいま、かつて世界を凌駕したメイド・イン・ジャパンの製品が、世界のマーケットで苦戦を強いられている。高い技術力を背景により良いものをつくろうとした結果、高付加価値すぎる製品が増え、むしろそれが世界で通用しない一因にもなっている。「日本のモノづくりはガラパゴス化している」と言われることも少なくない。

 たしかに、日本では高付加価値な商品は魅力的かもしれない。だが、僕が活動する途上国はもちろん、急成長を続ける新興国であっても、まだまだ低価格でシンプルなもののほうが求められている。むしろ、日本製品は高くてオーバースペックだと映ることも多い。そこで今回は、高い技術力を持ちながらも世界で苦戦を続ける日本のモノづくりが、大きな可能性を秘めている途上国の市場をどうやったらつかむことができるのかについて考えてみたい。

途上国で求められる
4つの大事なポイント

 まず、日本製品といって思い浮かぶものは何か。それはきっと、車、テレビ、オーディオ機器、ゲーム、携帯などのエレクトロニクス製品だろう。日本がテクノロジー王国になったのも、物質的な豊かさを追い求めた70~80年代にかけてで、好調な国内需要に加えて、アメリカ、ヨーロッパなどの先進国の市場にも進出。より薄いテレビ、より多機能な携帯電話、より速いコピー機、より安全性の高い車など、日本のモノづくりは高付加価値の追求に向かっていった。右肩上がりの経済のなか、この成長モデルで非常にうまくいったといえる。

 だが、そうした時代から数十年が経ち、時代は大きく変わった。近年ではBOPビジネスという言葉も登場し、日本のみならず世界中の企業が途上国を新たな市場と捉え非常に注目している。しかし、途上国のマーケットを狙うということは、中流層、富裕層をターゲットとしてきた今までとはやり方を根本的に替えなければいけないということ。途上国は貧困層が大半を占めており、彼らには現金がない、電気がない、流通網がないといった制約条件が多い。だからこそこうした途上国の事情に合った製品を開発しなければならない。ではそれはいったいどういうものか。僕は以下のような要素が求められていると考える。

1)ニーズに合っている
2)極端に安い
3)シンプルでわかりやすい
4)壊れにくい

 上記を1つひとつ見ながら考えていこう。

1)ニーズに合っている:

 これはビジネスでも、社会セクターでも、政府でも一緒だが、「ニーズに対するサービスを提供する」という原点は変わらない。前回の第2回でも紹介した通り、まずは現地の人たちの「生活」を知ることが重要だ。途上国の貧困層の生活レベルを考えると、エネルギー、水、教育、保健サービス、農業などといった日常の生活に密着したニーズをまず理解するべきだろう。極端な話をすると、途上国で3Dテレビは求められていない、ということ。

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中村俊裕 [米国NPOコペルニク 共同創設者兼CEO]

京都大学法学部卒業。英国ロンドン経済政治学院で比較政治学修士号取得。国連研究機関、マッキンゼー東京支社のマネジメントコンサルタントを経て、国連開発計画(UNDP)で、東ティモールやシエラレオネなどで途上国の開発支援業務に従事。アメリカ、スイスでの国連本部業務も経験し、ソマリア、ネパール、スリランカなど紛争国を主にカバーしていた。
2009年、国連在職中に米国でNPO法人コペルニクを設立。アジアやアフリカをはじめとする途上国の、援助の手すら届きにくい最貧層が暮らす地域(ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを使った製品・サービスを提供する活動を行い、貧困層の経済的自立を支援している。
2010年、2011年には、クリントン元米大統領が主催するクリントン・グローバル・イニシアティブで登壇。2011年にはテック・クランチが主催する「クランチーズ」で表彰。2012年、世界経済会議(ダボス会議)のヤング・グローバル・リーダーに選出された。また、テレビ東京系の「ガイアの夜明け」やNHKなどメディアへの露出も増加している。現在は大阪大学大学院国際公共政策研究科招聘准教授も務め、マサチューセッツ工科大学(MIT)、コロンビア大学、シンガポール大学、オックスフォード大学、東大、京大など世界の大学で講演も行っている。2012年、ダイヤモンド・オンラインに連載「世界を巻き込む途上国ビジネス」を寄稿。著書に、『世界を巻き込む。』がある。
☆中村氏twitterアカウント: toshikopernik
☆コペルニク・ジャパンfacebookページ: http://www.facebook.com/kopernikjapan


世界を巻き込む途上国ビジネス

BOPビジネスという言葉も登場し、途上国に新たなマーケットを求めて進出する企業が増えている。しかしその多くは、現地のニーズをきちんと捉えたビジネスモデルになっていないことが多い。長年、国連で途上国の開発事業に携わり、現在は自身が立ち上げたNPOコペルニクにて、シンプルなテクノロジーを途上国に届ける活動を行っている中村氏が、現地ニーズに即した途上国ビジネスについて考える。

「世界を巻き込む途上国ビジネス」

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