ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
団塊・シニアビジネスで勝ち組になる!

大企業が「新規事業」を立ち上げる意義は?

村田裕之 [村田アソシエイツ株式会社代表取締役/東北大学特任教授]
【第10回】 2008年3月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 大企業においては、そもそも新規事業の立ち上げそのものが敷居が高く、すぐに成果を出しにくいことがあります。一般に、既存の収益部門の売上げが大きいほど、新規事業部門はやりにくくなります。

 たとえば、年商1兆円程度のメーカーの場合、すでに全国各地にある営業所で、コストダウンや経費節減、卸価格の引き上げなどの工夫をすることにより、1年程度でも20億から30億円程度の売上げアップは比較的達成できてしまいます。その理由は、スケールメリットがあるからです。ところが、ゼロからの新規事業立ち上げの場合、前述の理由により、2年間かけても、その売上げを10億円まで持っていくことすら、難しいのが現状です。

 新規事業部門は、そもそも既存の収益部門の先細りを懸念して、既存の収益部門では取り組めない新しいことに挑戦しており、すでにできあがっているルーチンワークを回すよりも多大な労力が必要です。

 しかし、新規事業開発活動が、実際の収益になかなか結びつかないと、既存の収益部門と「同じ土俵」で比較され、「金食い虫」「給料泥棒」と批判され、社内で肩身が狭くなります。

新規事業立ち上げは
中長期の成長への布石

 社内での新規事業立ち上げの問題が提起しているのは、そもそも、大企業において新規事業に取り組む目的は何かということです。

 「事業規模」を大きくするのが目的なら、短期的には、既存収益部門の売上げ拡大を図るほうが早道でしょう。たとえば、不動産会社が、現状より100億円売上げをアップしようとする場合、ゼロから新規事業に取り組むより、売上げ10億円規模の商業ビルを10件立ち上げたほうが、実現は早く、確実でしょう。

 しかし、こうした短期的な打ち手は、競合他社も当然打ってくることに加え、ある程度打つと、打ち手がなくなってしまいます。しかも、いまの収益部門が3年後、5年後、10年後に収益部門であり続けるかどうかの保証は、まったくありません。

 したがって、重要なのは、短期的に既存収益部門の売上げ拡大を図りながら、中長期の成長のための布石を打つことです。この布石が、新規事業への取り組みなのです。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
村田裕之氏の著書『団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」』好評発売中!

近年、団塊世代をターゲットに、商品・サービス開発に取り組む企業が急増している。しかし、一部を除いては試行錯誤が続いているのが現実だ。こうした状況を打破するためのヒントを、成功事例とともに分かりやすく解説。村田裕之著。1600円(税別)

話題の記事

村田裕之 [村田アソシエイツ株式会社代表取締役/東北大学特任教授]

新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。日本総合研究所等を経て、02年3月村田アソシエイツ設立、同社代表に就任。06年2月東北大学特任教授、08年11月東北大学加齢医学研究所 特任教授、09年10月に新設された東北大学加齢医学研究所スマートエイジング国際共同研究センターの特任教授に就任。エイジング社会研究センター代表理事。わが国のシニアビジネス分野のパイオニアであり、高齢社会研究の第一人者として講演、新聞・雑誌への執筆も多数。
 


団塊・シニアビジネスで勝ち組になる!

多くの企業がシニアビジネスに参入していますが、ほとんどが苦戦を強いられています。その壁を突き破る、驚きの発想転換術をお教えします。

「団塊・シニアビジネスで勝ち組になる!」

⇒バックナンバー一覧