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高橋洋一の俗論を撃つ!

反緊縮財政派が選挙で勝利
欧州でこれから何が起こるか

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第39回】 2012年5月17日
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 欧州の経済問題をめぐっては、フランスやギリシャ、ドイツで反緊縮政策派が各種選挙で勝利した。

 昨年10月20日付け本コラム「ギリシャはデフォルト(債務不履行)常習国 歴史と最適通貨圏理論で解く問題の本質」で指摘した通り、欧州からはギリシャのユーロ離脱論も増えてきた。ギリシャのユーロ離脱を含め、スペインやイタリアの経済問題、ECB(欧州中央銀行)の動向など、今後の欧州の政治、経済のシナリオはどうなるのだろうか。ユーロの動向が日本経済に与える影響はどうなのか。

ユーロという共通通貨は
「現代版金本位制」

 日本のマスコミは、ユーロ危機を通貨が同じであるにもかかわらず、財政は統一されていないことをその原因と見る向きが多い。だから、財政を統一せよ、しかも財政規律をユーロ各国が守れという論調だ。しかし、欧州の国民の動きはこれとまったく逆方向だが、経済理論からみて正しい方向だ。

 そもそも、ノーベル賞受賞者でもあるアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは、欧州危機の時の緊縮政策は「自殺」への処方箋だといっている。同じくノーベル賞受賞者のポール・クルーグマンも、緊縮政策は「狂気の沙汰」であるとして、はっきりとおかしいと言っている。ほとんどのエコノミストは経済危機における緊縮政策は、間違っている点で同意するだろう。

 振り返ってユーロ危機の本質を考えると、それはユーロという共通通貨圏となったために、各国の金融政策の自由がなくなったことにある。各国でユーロを共通通貨として用いるということは、各国が金という共通通貨を用いる金本位制に似ており、「現代版金本位制」といえる。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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