ウォール街Photo:PIXTA

12月4日以降、米国の株価が急落した。その理由の1つとして「長短金利の逆転が、株式市場関係者に景気後退を想起させた」ことが挙げられているが、本当にそうなのだろうか。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

長期金利の基本は満期までに予想される
「短期金利の平均+α」

 はじめに、長期金利について基本的な考え方をおさらいしておこう。

 なお、本稿では、5年物国債の利回りを「長期金利」、2年物国債の利回りを「短期金利」と呼ぶこととする。2年債の利回りは厳密には短期金利ではないが、世の中では両者の差が長短金利差と呼ばれているので、本稿もそれにならう。

 また、市場関係者の多くが注目している10年物とは逆転していないのだが、金利差は逆転間近となっているため、以下では5年物に注目して「長短金利が逆転した」と記す。

 さて、投資家には、長期国債を購入するか、あるいは短期国債を保有して満期に新たな短期国債を買うかという選択肢がある。