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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

恐慌を消し止めたブラウン首相と、
火種を残したブッシュ大統領

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第48回】 2008年10月17日
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 そのあまりの無能振りから、ごく最近まで「サブプライム(信用力の劣る)首相」と揶揄されてきたイギリスのブラウン首相が一転、歴史的な経済危機から世界を救った最大の功労者として賞賛を集めている。

 英政府が先週半ば、他の先進各国に先駆けて、公的資金による主要銀行への包括的な資本注入方針を公表、フランス、ドイツ、米国などが同様の施策に踏み切るリード役を果たしたからである。各国が英国型の対応に踏み切ることになり、世界的な恐慌の嵐が荒れ狂った“暗黒の10月”が今週初め沈静化の兆しを見せたのだった。

 それにしても、このサブプライム首相に華麗なる変身を迫った秘密はいったいなんだったのだろうか。

 そして、本当に、世界は歴史的な経済危機の封じ込めに成功したのだろうか。

英政府の果断な行動を
クルーグマン教授も評価

 「ブラウン首相とダーリング財務相は、世界全体に通用する救済策を形にしてみせた。他の先進国はこれに追随しているに過ぎない。

 ロンドンが世界有数の金融センターの一つであるのは事実だが、英国は米国に比べて経済規模がずっと小さく、それほど影響力も大きくない。イングランド銀行も米連邦準備制度理事会(FRB)や他の欧州の中央銀行ほどの影響力を持っていないから、英国が指導力の発揮を期待されていたわけでもない。

 しかし、英国政府は金融危機の本質を明確に捉え、果敢にその結論を行動に移した。

 この明確性と果断な行動は、西側諸国のどの政府も肩を並べていない。特に、米国は足許にも及ばない」――。

 プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏(55)は13日付けの米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿したコラムにこう書き綴り、ジェームズ・ゴードン・ブラウン英首相の金融恐慌に対する対応策を絶賛した。

 クルーグマン教授といえば、もともとブッシュ政権の経済政策に対して批判的なことは有名である。しかし、今年、この金融危機の最中にノーベル経済学賞を射止めたほどの経済学者でもある。それだけに、その経済政策への評価には説得力が備わっている。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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