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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

悪い冗談のようなしきたりに“よそ者”は四苦八苦!
日本にまだあった、人間関係が超濃ゆい「監視ムラ」

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第46回】 2012年5月23日
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地名は一切伏せてくれ――。
筆者が聞いた冗談のような“ムラ”の話

 友人からその話を聞いたとき、最初は理解できなかった。たちの悪い冗談かと思った。そんなことが、今の日本社会でまかり通るはずはないと思ったからだ。しかし、友人は「作り話なんかではなく、本当の話。僕も当人から直接、打ち明けられてびっくり仰天した」と、まじめな顔で語る。

 それでも信じられず、当事者に直接確認することにした。どうにか取材に応じてもらえたが、名前はおろか、「地名も一切伏せてくれ」と厳命された。こんな話だった。

 大都市で生活していたAさんは、郊外の集落に転居した。ある社会的な事業を展開させるため、まとまった土地が必要となったからだ。Aさんにとって縁もゆかりもない地域だったが、理解ある地主さんと知り合い、思い切って決断した。

 その後、新たに畑と作業場を借り上げ、仲間たちと野菜作りに挑むことにした。地主さんの尽力でその手当も順調に進み、賃貸契約に漕ぎ着けた。

 長年、温めていた夢が実現に向けて前進するとあって、Aさんは嬉しさでいっぱいだった。1日でも早く野菜作りに取りかかりたい。そんなはやる気持ちを抑えることができなかった。

 隣近所に挨拶をする前に、ちょっとした荷物を運び込むことにした。作業が一段落したら、きちんと挨拶周りしようと思っていた。ところが、この判断が甘かった。思いもかけぬ事態となり、地域を揺るがす大問題にまで発展してしまったのである。

 荷物を運ぶ物音を聞きつけた近所の人が姿を現し、血相変えてやってきた。そして、挨拶するAさんにこう詰め寄ったという。

 「何をしているんだ? ムラ(いわゆる町内会)の許可を得てやっているのか?」

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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