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放射能被害の陰で深刻化する
被災地のアスベスト飛散問題

週刊ダイヤモンド編集部
2012年5月28日
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東日本大震災の発生から1年余りが経過し、被災地では復旧作業が進められている。現地では、放射能被害ばかりがクローズアップされているが、その陰で深刻な問題が急浮上している。被災した建物に吹き付けられているアスベストが解体工事に伴って飛散。人体に甚大な影響を及ぼしかねないというのである。

 2011年11月28日午後、仙台市環境対策課に1本の電話が入った。電話の主は市の衛生研究所だ。

 「明らかに高い濃度が出ている。不適正な作業をしているはず」

 これが仙台市を揺るがしたアスベスト飛散事故の始まりだった。

 事故が起きたのは、東日本大震災で被災した旧ホテルサンルート仙台の解体工事に伴うアスベスト除去工事だ。

 ビルは9階建てで、すべての階の鉄骨にアスベストが吹き付けてあった。市が立ち入り検査した際に濃度を測定したところ、異常な濃度のアスベストを検出した。電話はその一報を伝えるものだ。

 市の発表によれば、発がん性の高いアモサイト(茶石綿)が建物の敷地境界で1リットル当たり最大360本(電子顕微鏡で測定)という異常な濃度で検出された。住宅地におけるアスベスト濃度の全国平均が10年度、1リットル当たり0.08本だから、実に4500倍に達する異常値である。

 現場は仙台駅近くのオフィス街で、ひっきりなしに歩行者が行き交う。そんな場所で「聞いたこともない高濃度」と市の担当者でさえ認めるとんでもないアスベスト飛散事故が起きたのだ。しかも飛散は、2週間以上も続いていた可能性があるという。

 アスベストの調査や分析に詳しいNPO「東京労働安全衛生センター」の外山尚紀氏はこう語る。

 「敷地境界では聞いたことがないほどの濃度。長い時間その場にいたら悪性中皮腫(アスベストの吸入によって起こる特殊ながん)の発症リスクが明らかに上昇する」

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