竹本寛氏竹本寛/(キャロットカンパニー商品企画部長)
Photo by Masato Kato

 ワインボトル2本がクロスする黒いロゴに小さく「anello(アネロ)」と刻まれたリュック――。これを背負って歩く人が急増している。色も柄もさまざまだが、上部の開口部に沿って口金が入っており、ファスナーを開けると大きく全開できるデザインは皆同じ。若い女性のみならず、男性にも、さらに日本のみならずアジアでも、爆発的にこの光景は広がっている。

 人気の理由は圧倒的なコストパフォーマンスの良さだ。メーカー希望小売価格で4500円台という安値なのに、丈夫で荷物がたくさん入り、大きなポケットが付いていて収納しやすい。本体の重量は500ミリリットルのペットボトル1本より軽く、肩ひもや背当てにはしっかりしたパッドが入っており、肩に食い込まない。

 5000円以下のカジュアルバッグは年間1万個売れれば大ヒットとされる。ところがこのアネロの口金リュックは2014年11月の発売以来、累計で600万個以上を売った“お化け商品”だ。

 この謎のブランドは、大阪に本社を持つキャロットカンパニーが世に送り出したもの。もともと服飾雑貨卸が本業の会社で、生みの親である竹本寛自身も、元はイラストレーター志望の、洋服や雑貨好きの若者にすぎなかった。