これからライフログを始める人のための
ブックガイド10冊

これまで3回の連載を通して、奥野氏と五藤氏のアナログ派とデジタル派それぞれの記録・活用法を紹介してきました。2人のライフログに対する考え方には似た部分と違う部分がありますが、2人の「記録活用法」からヒントを学んでもらえればと思います。最後に付録として、これからライフログを始める人のために奥野氏、五藤氏が選んだ入門書を10冊ご紹介します。

五藤隆介選・文

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(1)『ライフログのすすめ』ゴードン・ベル(早川書房)

デジタルライフログ研究の第一人者が書いた「理想」のライフログの世界を知ることができる本。技術が進歩して、時代が変わっていったら、世の中は「ライフログ」でこんなにも便利な世界になるんだ、と、これからの時代に妄想が膨らみ、ついつい胸を躍らせてしまいます。ライフログという言葉の定義は非常に曖昧ですが、今現在この本に書かれていることが最も一般的な「ライフログ」の定義になるのだと思います。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(2)『人生は1冊のノートにまとめなさい』奥野宣之(ダイヤモンド社)
『ライフログのすすめ』が理想のライフログを知るための本であることに対し、この本は今実現できる一番実践的なライフログの入門書。現代の技術では100%自動的に記録を残しておくことは不可能。では、いったいどういうことをどういう方法で残しておくと記録の効果を実感できるのか。そういったことを知るための最良の手引き書。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(3)『iPhone習慣術』堀正岳、佐々木正悟(インプレスジャパン)
数多あるiPhoneアプリの中で、どういうアプリを、どんな風に使っていけば新しい習慣を作ることができるようになるのか。今現在「ライフログを残す」というのは、自分の手を動かして、自分で意識してさまざまな記録を残しておかなければなりません。結局それは「習慣化」していくしかない。そういう新しい習慣を身につけるさまざまな工夫を知ることができる本。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(4)『いつも三日坊主のあなたが続ける人になる50の方法』佐々木正悟(中経出版)
記録することを「習慣」にできたら、あとはそれを「継続」していかなければなりません。スマートフォンの登場で「ライフログ」が簡単になったといっても、まだまだ記録を残すことは面倒で、続けることは難しい。こんなメリットがあるよ、ってわかっていてもできないのが現実。そこを1つ乗り越えられれば、もっともっと楽しくて便利なライフログができるはずです。継続のためにはどうすればいいのか、ということを知ることができる本。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(5)『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』デビッド・アレン(二見書房)
ライフログが「過去の自分」を知るための方法だとすれば、GTDは「今の自分」を知るための方法。人間の頭というのは非常にいい加減で、だからこそ考えを書き出してみる。過去と現在という違いはあれど、根本に流れている思想には近いものがあるように感じています。また、GTDはライフログよりもダイレクトに効果を実感しやすい方法なのでライフログ入門「前」として、実践してみる価値があると思います。

●奥野宣之選・文

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(6)『生物としての静物』開高健(集英社文庫)
万年筆やナイフ、ジッポなどの道具が、人の心をどんなふうに満たしてくれるかといったことを書いたエッセイです。たとえば、タバコに火をつけるという結果は同じでも、独特の味わいがあるジッポと実用性のみの100円ライターでは、やはり違うんだ、といったことが書いてあります。この話は、僕がライフログノートをつけるとき、文房具に凝ったり、いろんな方法を試したりするときの気持ちに通じる面があって、非常に共感しています。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(7)『読書術』加藤周一(岩波現代文庫)
読書術の本ですが、冒頭に「人は何を読んでもその中に自分を発見する」というくだりがあります。つまり、本を読んで「おお!」と思ったことでも、自分の中ですでにあったものだということですね。目の前にあるのに見えてなかったことというか。ライフログも、何年も続けているとだんだん自分の価値観やテーマが見えてくることがあります。そういった自分の核みたいなものを自己発見する方法として、読書もライフログも共通する面があると思います。

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(8)『減速思考』リチャード・ワトソン(徳間書店)
この本は、デジタルの弊害のことを言っている本で、要するに「ITは便利だけれど、一方でゆっくり考える時間を奪う」ということを言っています。僕の本でも、ノートを作るのは一種のレクリエーションなんですよ、ということを言ったのですが、たまにはIT端末から離れて、切ったり貼ったりと手の動かし方を変えることで、頭の使い方を変えることができると思っています。

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(9)『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』アトゥール・ガワンデ(晋遊舎)
外科医が医療ミスを防ぐために、航空業界や建設業界にチェックリストのつくり方を教えてもらいに行く話です。僕もライフログからチェックリストを作ることで仕事のクオリティーをあげようと模索しているので非常に参考になりました。「慣れているから大丈夫」となりがちな医療現場に対して、パイロットや建設現場では、「ミスは必ず起きる」という認識が徹底されていて、記録を残すのもこういう地に足の付いた感覚が大事だと思いました。

つい見返したくなるライフログのコツ<br />&初心者のためのブックガイド10冊

(10)『植草甚一スタイル』(平凡社)
植草氏は、僕のライフログの師匠の一人です。昔から「貼り混ぜ帳」という文化はあるなあ、と思っていて、僕の本もその影響下にあるわけですが、改めて読み返してみて同じことをやっているのに驚きました。植草氏のスクラップブックには、たとえば落書きしたコースターが延々と貼ってあったりする。コースターなんて、他の人からすればゴミなんですけれど、彼は自分の工夫で、貴重な思い出の品として楽しむわけです。そういう「何が大事かは自分で決める」という独立心がすばらしいと感じています。

(連載終了)


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