ひと昔前には考えられなかった
プロ野球観戦のホスピタリティ向上

 最近、プロ野球を観戦に行くと感じるのが、ホスピタリティの向上である。ひと昔前では考えられないようなファンサービスが行われるようになったのだ。

 セ・パ交流戦が始まった5月16・17日の両日、東京ドームで行われた巨人―オリックス戦では、巨人選手がオレンジユニフォームで戦うイベント「橙魂2012」の一環で、入場者全員にオレンジのレプリカユニフォームが配布された。5900円のS指定席だろうが、2000円の外野席だろうが、敵のオリックスのファンだろうが関係なし。とにかくこの日、試合を見に来た人全員に、買えば数千円はしそうなレプリカユニフォームがプレゼントされた。

 もっともこうした大盤振る舞いには前例がある。福岡ソフトバンクホークスは2004年から始まった「鷹の祭典」というイベントでレプリカユニフォーム配布を行っている。この日の試合では選手が通常とは異なる色とデザインのユニフォームを着用してプレーするが、それと同じレプリカを入場者全員に配るのだ。今年は緑色だそうで、7月2日の東京ドーム、7月15~18日の福岡ヤフードームの計5試合で配布を行うという。

 他の球団でも、これほど大掛かりではないが、先着5000人といった条件をつけて特定の選手を模した首振り人形「バブルヘッド」や応援旗などのプレゼントを行っている。

 また、こうした景品とは別にファンが喜びそうなさまざまなイベントが行われている。最近、多くの球団が行うようになったのは、ファンをグラウンドに入れるイベントだ。ファンクラブ会員限定だったり抽選だったりという条件はつくが、ファンをグラウンドに入れ、試合前の練習を間近で見たり試合後にキャッチボールやベースランニングができたりする。

 東北楽天などは本拠地Kスタ宮城で行われる日曜のデーゲーム限定だが、試合後の約1時間、入場者は誰でもグラウンドに降りて遊んでいいことになっている。この他にも、ヒーローになった選手と握手ができたり、記念撮影ができたりと、球団によって違いはあるものの至れり尽くせりのファンサービスが用意されている。