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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の17「寵辱には驚くが若し」(老子)
左遷されたらどう生きるか

江上 剛 [作家]
【第17回】 2012年6月5日
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 朝日新聞の5月12日付けのオピニオン欄(耕論)のテーマは「冷や飯を食う」だ。組織内で正当な評価を受けずに冷遇された人たちが、冷や飯を食っていた時代を思いだして意見を述べている。

 登場しているのは、元経済産業省官僚の古賀茂明さん、日立就職差別裁判元原告の朴鐘碩さん、そして日本サッカー協会名誉会長川淵三郎さんだ。

川淵さんの冷や飯時代

 一番驚いたのは、川淵さんだ。Jリーグを創設し、そのトップリーダーであり、今や日本サッカー界のドンでもある、あの川淵さんに冷や飯食いの時代があったとは、にわかに信じられない話だった。

 川淵さんは「今でも24年前の、あの時のことを忘れません」と言い、サラリーマンとして絶頂期だったころの不当な人事を憤る。

 川淵さんは、当時、51歳で古河電工名古屋支店銅製品販売部門の部長で、営業成績も良く、前任者がそうであったように自分は当然、本社の部長として凱旋できると信じていた。ところが意に反して子会社の部長の辞令。「頭の中は真っ白、声も出ません」と川淵さんは当時を思い出し、そのショックを「ドーハの悲劇を現地で目の当たりにした時と同じくらい」と、さすがは日本サッカー協会の名誉会長と手を叩きたくなる表現。日本中が言葉を失った、あの「ドーハの悲劇」と同じショックを受けたのだ。

 しかし、この左遷が今日の川淵さんを造った。サッカーを辞めて、本社の重役になることを目指していた川淵さんは、子会社への出向を受け入れ、意に沿わぬ会社勤めをしながら、サッカーのプロ化を進めるという二足のわらじを履くことになる。そして91年にJリーグのチェアマンに就任し、退職する。

 「私にとって、サッカーが人生のよりどころになりました」と川淵さんは言う。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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