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安東泰志の真・金融立国論

米国経済を鍛え上げたERISA法(前編)
幾多の困難を乗り越え
米国は年金運用を国家戦略とした

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第22回】 2012年6月6日
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年金運用は国家戦略
そのものである

 AIJ問題以降、わが国では、年金資産の運用について、その監督・規制のあり方や運用ルール・体制についてなどを巡って、様々な指摘がなされている。

 この問題を通じて浮かび上がった重大な問題の一つが、国民資産である年金基金資産の管理・運用のあり方についてである。

 米国では、すでに今から約40年も前の1974年に、年金加入者・受給権者の利益を保護するためにエリサ法(ERISA=Employee Retirement Income Securities Act・従業員退職所得保障法)が制定され、管理者・運用者の行為基準について、受認者の忠実義務(fiduciary duty)を含め明確に規定したが、その後も次々に補強され今に至っている。

 エリサ法は、

(1)年金ガバナンス
(2)コーポレート・ガバナンス
(3)投資分散

 の3点において米国の資産運用のみならず、経済の活性化や企業統治にまで大きな影響をもたらした。

 もちろん、日本でも、確定給付年金法などによって、事業主や基金理事の行為準則、積立金の規制、運用指針などが一応定められているが、それは飽くまでも厚労省という庭の「マニュアル」でしかない。米国が、エリサ法を出発点にして、年金運用のあり方を、いわば国家の成長戦略の軸として活用してきたのと比べると、お粗末としかいいようがない。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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