イチロー最後の試合後、ファンに挨拶するイチロー Photo:USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

 イチローの引退会見は、日本に画期的な「野球革命」が起こる期待を抱かせてくれた。

 これほど的確に「野球の問題点」を指摘し、「マスメディアの稚拙さ無礼さ」を浮き彫りにした発言が過去にあっただろうか。さらに、イチロー自身が新たなフィールドに立った途端、その周辺に刺激的な波風が起こって、野球界がダイナミックに変わらざるを得ない映像が鮮やかに浮かんで見えた。

引退会見で発言
「プロ・アマの壁は撤廃しないか」

 ずっと日本野球の変革を熱望してきた私には、この引退会見は、選手・イチローから「改革者・イチロー」へ転進するプレゼンテーション(立候補宣言)にも見えた。野球界にとどまらず、スポーツ界全体、スポーツ報道のレベルやあり方、さらには社会全体にあらゆる変化が起こる可能性を感じ、胸が高鳴った。

 今後は何になるのか? 監督は? と聞かれて、イチローは答えた。

「監督は絶対無理ですよ。絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないですよ、僕。いやあ、無理ですね。それぐらいの判断能力は備えているので。

 ただ、どうでしょうね。プロの選手、プロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁というのが日本は特殊な形で存在しているので。今日をもってどうなんですかね。そういうルールって。どうなんだろうか。今までややこしいじゃないですか。

 例えば極端に言えば、自分に子どもがいたとして、高校生であるとすると、教えられなかったりというルールですよね。そういうのって変な感じじゃないですか。今日をもって元イチローになるので、それは小さな子どもなのか、中学生になのか、高校生になのか、大学生になるのかはわからないですけど、そこには興味がありますね」