月崎義幸社長と大島隆宣常務執行役員東京証券取引所で決算会見する月崎義幸社長(左)と大島隆宣常務執行役員(右)は台中連合の支援決定について「順調」と述べたが… Photo by Reiji Murai

経営再建中の中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)は5月15日に発表した2019年3月期決算で、5年連続の最終赤字を計上した。これにより自己資本比率は債務超過寸前の0.9%。頼みの台湾・中国連合による金融支援が遅れれば、資金繰り危機が再燃しかねない。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「またも黒字化することができなかった」。中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)の月崎義幸社長は5月15日に開いた2019年3月期決算会見の冒頭で謝罪するしかなかった。業績は“惨敗”だったからだ。

 官民ファンドであるINCJ(旧産業革新機構)の主導により、ソニー、日立製作所、東芝の中小型液晶事業を統合したJDIが発足したのは12年4月。スタートダッシュは好調で14年3月にスピード上場を果たしたが、それから一度も最終黒字を計上できなかった。

 JDIのリスクとして、米アップル向けの売上比率が偏って高いことが挙げられる。ただ、それも設立当初から指摘されていた課題だったが、今に至っても他の事業が柱に育たず、むしろアップル依存は年々高まり続けてきた。

 特にこの2年は、iPhoneの動向に翻弄される場面が目立っていた。アップルが17年11月に発売したiPhoneXで初めて有機ELパネルが採用されると、有機ELパネル工場を持たないJDIに衝撃が走った。