「働き方改革」が喫緊の課題となっている。そんななか、プレッシャーが増しているのがプレイングマネジャー。個人目標とチーム目標を課せられるうえに、上層部からは「残業削減」を求められ、現場からは「仕事は増えてるのに…」と反発を受ける。そこで、1000社を超える企業で「残業削減」「残業ゼロ」を実現してきた小室淑恵さんに『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』をまとめていただいた。本連載では、本書のなかから、プレイングマネジャーが、自分もチームも疲弊せずに成果をあげるノウハウをお伝えしていく。

「ノー残業デイ」で現場に不満がたまる会社は、<br />何を間違えているのか?<br />

なぜ、「ノー残業デイ」は機能しにくいか?

「働き方改革」の一環として、多くの企業で「ノー残業デイ」が導入されていますが、残念ながら、あまりうまく機能していないように見えます。

 私は、週一日だけ「ノー残業デイ」を設定しているケースが多いのが、その要因ではないかと考えています。

 なぜなら、週一日だけであれば、その前後の日の残業を増やすことによって、「ノー残業デイ」に終わらない分の仕事を吸収できるからです。それはつまり企業側から「仕事の量や根本的なやりかたは変えないけど、あなたの根性でなんとか圧縮してね」というメッセージであり、単に定時退社をする日が週に1回あるというだけで、実質的には「働き方」はまったく変わらないからです。

 ですから、私は、「働き方」を抜本的に見直すためには、少なくとも週に2日以上は「ノー残業デイ」を設定する必要があると考えています。「ノー残業デイ」が週2日以上あれば、「働き方」を根本的に見直さなければ対応できなくなるからです。

 また、会社が一方的に、何曜日を「ノー残業デイ」にするかを指定しているのも問題だと思います。なぜなら、メンバーによって定時退社したい曜日は違うからです。あるメンバーは、「英会話を習い始めたい。できれば、自分のレベルにあった火曜日と金曜日のクラスを受講したい」と考えているかもしれませんし、別のメンバーは「料理教室とヨガ教室に通うために、月曜日と水曜日は定時に帰りたい」と希望しているかもしれません。

 こうした各自の動機に合わせて、何曜日を「ノー残業デイ」にするかを決められるほうが、メンバーはモチベーション高く「ノー残業デイ」をとらえてくれるはずです。その結果、自発的に「自分の働き方」を変える努力を始めるのです。