賛否を巻き起こしている「残業代ゼロ」法案の提出。労働時間より成果で評価を行う労働制度として「年収1千万円以上で高度な職業能力を有する労働者」を対象に検討されているが、経営側はさらなる対象拡大を求めているとされる。残業代ゼロは、残業自体を減らすことにつながるのか。それとも経営側が労働者を都合よく働かせる制度となってしまうのか。
残業代ゼロ法案の背景には、日本の悪しき慣習とも言える長時間労働がある。ノー残業デーを設ける会社も多いが、形骸化が著しいという話も聞こえてくる。労働者の目に現場の「長時間労働」はどのように映っているのか。クロス・マーケティングが行った「長時間労働に関する調査」を見てみよう。
調査期間は2月7日~2月8日。調査対象は、20~50代の男女600人(男女比、年代比均等)。職業は会社員・公務員=63.0%、派遣・契約社員=12.5%、パート・アルバイト=24.5%。
月に21時間以上の残業
男性53.5%、女性25.5%
まず、毎日のように残業を行っている人はどのくらいいるのだろう。全体で見ると、「月に1~20時間程度」と答えた人は57.6%、「月に21~40時間程度」(23.2%)、「月に41~60時間程度」(10.3%)、「月に61~80時間程度」(3.3%)、「月に81~100時間程度」(1.6%)、「月に101時間以上」(4.0%)。全体の約6割は1日1時間以下の残業時間ということがわかる。(※)
男女別に見ると「月に1~20時間程度」と答えた人は女性の方が30%近く多い(男性46.5%、女性74.6%)。女性で月に21時間以上残業をしている人は全体の25.5%だが、男性は53.5%。
また年代によってもバラつきがあり、男性で21時間以上残業する人が多いのは40代(60%)、女性で最も多いのは30代(35%)だった。