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スマートフォンの理想と現実

著作権法改正、Yahoo!・Tポイント提携に感じた
デジタルデータをめぐる重大な社会変革の足音

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第28回】 2012年6月21日
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 私たちは、なぜ貨幣という代物に、ここまで熱くなるのだろうか。

 いうなれば、単なる紙切れ(ないしは金属)である。しかも最近は、実物にさえお目にかからず、クレジットカードや電子マネーと自分の預金通帳の間で、数字がやりとりされているだけである。

 しかし私たちは、日々の生活の衣・食・住をそれに委ね、労働の対価として少しでも多くの貨幣を得ようと欲する。時としてそれは争奪となり、人命を奪う悲劇をも招く。戦争とて所詮はカネ絡みだと考えれば、社会そのものを壊しかねない、劇薬以上の存在である。

 スマートフォンに関する連載の書き出しとしては、いささか唐突すぎるかもしれない。また「罪と罰」の例を引くまでもなく、すでに論じ尽くされているような、陳腐な話でもある。

 ところで、たとえば前述の話で登場する「貨幣」や「カネ」を、「情報」や「データ」と読み替えてみたら、果たしてどうだろうか。

 いきなりSFのように見えるかもしれない。しかしそんな世界が、フィクションではなく現実のものとなろうとしている。そう思わせる出来事が、この数日で相次いだ。

著作権法の改正

 一つは、著作権法の改正を巡る動きである。6月15日に衆院で可決後、参院での審議もそこそこに、昨日可決された。すでに報道等でご覧になった方も多いだろう。

 同改正法案には、違法ダウンロード行為への刑事罰適用、アクセス制御を回避しての複製の違法化等を含む。たとえば、DVDのプロテクト(CSS)を回避する形での複製は、「回避して複製」という事実を知っていた場合、今回の改正によって違法となる(ただし刑事罰はなし)。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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