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連載経済小説 東京崩壊
【第43回】 2012年6月22日
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高嶋哲夫 [作家]

中国の狙い

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第3章

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 インターホンが鳴っている。

 森嶋は半分夢の中でその音を聞いていた。今、何時だ。

 ベッドから出ると、部屋の冷気が全身に沁み込んでくる。細胞が収縮し、思わず全身を震わせた。窓を見るとネオンの明かりが霞んでいる。雨が降っているのだ。

 インターホンのディスプレイを見ると、マンションの入り口に、傘もささずコート姿の男が立っている。ロバートだ。

 「開いてる。セキュリティは外した」

 午前4時だ。ベッドに入ってからまだ2時間もたっていない。

 昨夜は村津と別れてマンションに帰ったが、殿塚の姿が浮かんで、なかなか寝付けなかった。殿塚の様子からは死を宣告された患者には見えなかったのだ。ダンディないでたち、豪快に笑い、よく飲みよく食べた。そして、道州制への思いを熱く語った。

 考えているとますます目がさえてきた。仕方がないので起き出して、しばらく仕事をしていたのだ。

 ドアを開けると、ロバートが森嶋を押し退けるようにして入って来て、キッチンに直行した。冷蔵庫から缶ビールを取り出した。

 「いつも悪いな、こんな時間に」

 缶ビールを一気に飲み干すと、森嶋に向き直って笑みを浮かべた。しかし、その笑みは顔の筋肉を引きつらせているだけだ。

 こんなロバートを見るのは初めてだった。森嶋の知るロバートは、どんな時にも人を引きつける気持ちのいい笑みを浮かべたものだ。だが、目の前のロバートにはそれがない。精一杯平静を装ってはいるが、全身から疲れと焦燥がにじみ出ている。

 「何があったんだ」

 ロバートは冷蔵庫からもう1本缶ビールを出したが、一瞬、考えるような素振りを見せてテーブルに置いた。

 椅子を引き寄せて座ると軽く息を吐いて森嶋を見つめた。

 

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高嶋哲夫 [作家]

1949年、岡山県玉野市生まれ。1969年、慶應義塾大学工学部に入学。1973年、同大学院修士課程へ。在学中、通産省(当時)の電子技術総合研究所で核融合研究を行う。1975年、同大学院修了。日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)研究員。1977年、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)へ留学。1981年、帰国。
1990年、『帰国』で第24回北日本文学賞、1994年、『メルトダウン』で第1回小説現代推理新人賞、1999年、『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞で大賞・読者賞など受賞多数。
日本推理作家協会、日本文芸家協会、日本文芸家クラブ会員。全国学習塾協同組合理事。原子力研究開発機構では外部広報委員長を務める。


連載経済小説 東京崩壊

この国に住み続ける限り、巨大地震は必ずくる。もし巨大地震が東京を襲ったら、首都機能は完全に麻痺し、政治と経済がストップ。その損失額は110兆円にもおよび、日本発の世界恐慌にまで至るかもしれない――。今後、日本が取るべき道は何か。その答えを探る連載経済小説。

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