遠藤俊英(金融庁長官)えんどう・としひで/1982(昭和57)年大蔵省(現財務省)入省。2005年銀行第一課長、07年信用制度参事官、11年総務企画局審議官、14年検査局長、15年監督局長、18年7月より現職。 Photo by Jun Takai

『週刊ダイヤモンド』2019年6月15日号第1特集は「保険 どうなる節税どうする見直し」です。節税保険の“お祭り騒ぎ”に国税庁が待ったをかける中で、経営を監督する金融庁は今後どう対応していくのか。商品認可制度や手数料の在り方を含めて遠藤俊英長官に聞きました。

──節税保険をめぐって、生命保険会社との意見交換の場で「美しくない」という発言がありました。節税効果を前面に出した「財テク話法」が募集の現場で平然とまかり通るなど、金融機関としての品位・品格があらためて問われていると思いますが、生保の経営姿勢についてはどう見ていますか。

 明確な法令違反があるわけではないですし、最終的には経営判断ですからね。これで収益を上げられそうだと下から情報が上がってきたときに、トップとしてどう考えるかという問題です。

 そもそも、かつて逓増定期でも節税の問題があり、それを踏まえて今の監督指針は書かれているわけです。過去に議論しているにもかかわらず、また同じことをやった。あたかも収益至上主義になってしまっているのではないかという問題意識から、美しくないと言いました。

 生保としては、国税側がウエルカムではないと推測できていたはずですが、国税側から通達の見直しという明示的なストップがかかるまで販売を続けました。そうした一連の動きは一体何だったのか。

 われわれがルール(法令)ベースからプリンシプル(原則)ベースの行政へとカジを切っている中で、法令違反ではないからとして販売を続けたことは、適切な経営判断だったとはとても思えません。