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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

“厄介者”のレッテルを貼られて地縁の輪の外へ追放!
「理不尽な村八分」の撤回を訴え続ける孤高の陶芸家

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第47回】 2012年6月26日
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「八草から出て行ってくれ!」
“村八分”にされた孤高の陶芸家

 「自治区の区民として認めないことになったので、カネは受け取らない。八草から出て行ってくれ!」

 愛知県豊田市八草町に住む荒川友雪さんは昨年1月、2010年度分の自治区費(年間1万円)を納めようと役員宅を訪れ、耳を疑うような言葉を投げつけられた。立ちつくす荒川さんに役員は、「市の広報も回覧板も回さない。区の行事の連絡も入れない」と言い放ち、クルリと背を向けた。

 八草町生まれの荒川さんは、名古屋に住んでいた7年を除き、ずっと地元での暮らしを続けている。すでに半世紀以上にも及ぶが、コミュニティの一員ではないと宣告されてしまったのである。

 荒川さんは再度、区費を持って役員宅を訪ね、自治区総会への出席などを伝えた。すると、役員は顔色を変え、「区民として認めていないから、会場の中には一歩も入れない」と、敵意を剥き出しにしたのである。

 これまでも似たような仕打ちにあってきた荒川さんだが、堪忍袋の緒が切れてしまった。八草自治区と地域の共有地を管理する八草合有土地管理組合を相手に、民事訴訟を起こすことを決意したのである。自分が区民や組合員であることを認めさせる訴えだ。要するに、「村八分をやめてくれ」訴訟である。

 裁判は名古屋地裁岡崎支部で行われており、4回目の口頭弁論が6月5日に開かれた。双方の言い分は真っ向から対立し、激しい攻防となっている。

 そもそも自治区(自治会ないしは町内会)は、「一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」(地方自治法)で、区域に住む全ての人が構成員となる。「加わりたくない」という住民を強制的に入れることはできないが、「入りたい」という住民を拒むことなど、本来あり得ない。ましてや、会費の受け取りを拒否して地縁の輪の外へ放逐することなど、許されるはずもない。

 ではなぜ、八草自治区で露骨なまでの村八分騒動が巻き起こったのか。そこには特異な事情が隠されていた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


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国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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