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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「龍馬」から「よさこい」へ
外国人への訴求ポイントを変えた高知県の決断

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第110回】 2012年6月28日
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 2012年1月26日アップされたこのコラムのタイトルは「外国人観光客の誘致を成功に導いた 北海道の地道な努力と山梨県の“脱信玄”」だった。そのなかで、私が信玄と風林火山という2枚看板から脱皮した山梨県のインバウンド戦略に触れ、下記のように振り返った。

日本人に受けるキーワードは
外国人観光客に通用するか

 「私が観光推進会議の委員を務めるなどかかわりが多い山梨県は、以前、地元の観光資源を宣伝する際に、武田信玄と風林火山を枕詞のように口にする傾向があった。しかし、外国人の私から見れば、これはやはりおかしいと思う。中国人を含め果たしてどれぐらいの外国人観光客が、戦国武将・武田信玄や風林火山の意味を理解できるのか、いつも疑問に思っていた。」

 なぜかというと、日本人向けなら十分通用するこの二つのキーワードは、外国人には理解できないものになってしまう恐れがある、と思っているからだ。そのため、私は関係会議に出るたびに、外国人には、むしろ東京との近さ、アクセスの容易さを強調した方がよいのでは、と主張していた。

 こうした批判の声に耳を傾けた山梨県は、やがて「週末は山梨にいます。」というキャッチフレーズを開発し、自らの存在をこういう形でアピールするようになった。2006年から始まったこのキャンペーン作戦をいまでも続けているのを見ると、この戦略が相当功を奏していると見ていいだろう、と思う。「空港をもっていない県なのに、外国人宿泊数が高位にある。この実績はまさしく山梨県観光関係者の努力の結晶だと言っていいだろう」と、私はコラムの中で評価している。

 実は、1月26日アップされた例のコラムの最後のところに、「今でも一部の地方では、地元の歴史上の有名人物を切り札のように持ち出して、外国人観光客に懸命にアピールしている。こうした光景を目にする度に、山梨県の成功経験や北海道の地道な努力を伝えたくなる。外国人観光客を効果的に誘致するために、場合によっては、外国人向けのキャッチフレーズやコンテンツの制作を考える必要があるかもしれない」と、暗に一部の地方自治体を批判している。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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