なぜ、ソーシャルメディアで情報を発信したくなるのか?

 老若男女を問わず、個人をメディア化することでエンパワーするTwitterやFacebookなどのソーシャルメディア。ではなぜ、これほどまでのインパクトを持ち得たのだろうか? 整理する意味でも、ブログと比較しながら見ていくことにしよう。

 第一に、発信(投稿)した情報に対する「反応」が、ブログ以上に生じやすい点が挙げられる。ブログでも、コメントを付けてもらったり、他のブログで自分のブログが引用されたりするという反応作用はある。しかし、ブログにたくさんのコメントをもらったり、他のブログに引用されたりすることがさほど簡単でないことは、ブログを書いたことがある人であればよくわかるだろう。また、そもそもコメント欄を閉じているものも多くあり、双方向という意味では少し物足りない、ということもあるかもしれない。

 一方、Facebookであれば「いいね!」ボタン、TwitterであればRT(リツイート)という形で、たくさんの反応を比較的簡単に得ることができる。この「反応を得られる」ということはとても重要なことで、次のような効果を加速度的に生み出す。

(1)情報発信(投稿)するモチベーションが高まる
(2)情報の拡散がされやすい(情報を他のユーザーが広めてくれやすい)

 そして第二に、FacebookやTwitterはブログほどまとまったことを書く必要がない。ブログでは必要な記事タイトルも不要で、投稿する文書も短文でいい(Twitterであれば140文字以内という文字数の制限すらある)。思いついた雑多なことでも投稿しやすく、写真やウェブサイトのリンクだけでもよい。

 しかも投稿した情報はあっという間に速い情報の流れの中を泳ぎ去ってしまう。その性質がゆえに、特定のURLに残り続けるブログで求められる思慮深さのような心理的障壁はだいぶ低くなる。

 このように、投稿の簡易性と反応の得やすさが相互に寄与し合って、ブログ全盛の頃以上に、個人が情報発信と情報共有をしやすくなったと言えよう。

 FacebookやTwitterのようなソーシャルメディアが世界中で普及し始めたことは、「発信すること」のハードルを下げ、個人のメディア化を加速させていったのだ。一部の人だけのソーシャルメディアという域を脱し、広く大衆に利用の裾野を広げていることで、その流れはますます加速し、とどまる気配がない。