LGBTという言葉を聞いたことがあるだろうか。レズビアン(女性に惹かれる女性)、ゲイ(男性に惹かれる男性)、バイ・セクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害を含む、当初の性と別の性を生きたい人、または生きている人)の頭文字を取った総称であり、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)を指す。個々人のセクシャリティは、①身体の性、②心の性、③好きになる性の組み合わせでできているので、実際には多様性がある――。LGBTの人たちは、じつは人口の約5%はいるとされる。
「週刊ダイヤモンド」7月14日号の第2特集(市場規模5兆7000億円/「LGBT市場」を攻略せよ!)に先立ち、それぞれ異なるセクシャリティを持つ当事者に集まっていただき、LGBTであること明かして生きる道を選んだ方々の“生の声”を聞かせてもらった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨仁、ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
日本から飛び出して
初めて自己を肯定した
――(司会。以下同)米国では、バラク・オバマ大統領が公の席で同性結婚への支持を打ち出したり、人気歌手のレディ・ガガさんがレインボー・フラッグ(LGBTとしてのアイデンティティの表明や連帯の象徴に使われる6色旗)の色に髪の毛を染めて来日したりするなど、ようやく日本の社会でもLGBTに対する認知が高まってきました。LGBTである皆さんは、どのようなプロセスを経て、「どうやら人と違っているかもしれない」という自己を肯定的に捉えられるようになったのか教えてください。
ひろこさん:レズビアンである私は、ずっと周囲に同じような人がおらず、かつポジティブな情報も得られなかったことから、大学の4年時までは孤独でした。1人で悶々と悩んでいたのですが、私にとっては「場所を変える」ということが大きかったですね。フランスのパリにある大学院に留学したことで、日本で感じていた抑圧から解放されました。
そして、たくさんの人種や国籍が異なる同じような人たちとつながれたこともあり、「私は全然おかしくないんだ」と、自己のセクシャリティを肯定的に捉えられるようになりました。「これで胸を張って生きていけるかな」という感じで。
松中権さん:ぼくは、反対にあまり悩んでいませんでした。たとえば、自分のセクシャリティについては、小学生の頃から気付いていて、「なんか変だな。中学生になったら治るのかな」と思っていましたが、高校性になっても「やっぱり治らない」という感じで、大学に入りました。