確かに、今のジャパンは、日本ラグビー史において、最もいい成績を残している。この3年間、敵地でウェールズに惜敗し、フランスに引き分け。昨年はラグビーの聖地、トゥイッケナムでイングランド相手に前半リードした。ただ、強くなったジャパンでも、予選突破は簡単ではない。

前回のエディーは役割分担を明確化
今回は判断が重要

 地力が付いたのは、トップリーグが歴史を刻んだことと、4年前、南アフリカに勝ったことによる理屈ではない自信。選手層も厚くなっている。

 エディー・ジョーンズが率いた前回は、個々のすべきことがはっきり決まっていて、それを遂行すれば勝てるという仕組み。徹底的に反復してプレーの精度を上げ型通りに攻める、日本に生まれ育った選手に合った戦法だった。

 一方、今回のヘッドコーチのジョセフは、あえてキックを蹴り込んで、混沌とした状況(アンストラクチャー)をつくる。これは判断が要求されるし、簡単ではない。

 前回と同じでは頭打ちだし、次の段階に行こうというのは歴史の方向性としては正しく、今のところ成績が付いてきている。ただし、戦法がうまくいかず、混沌が悪い方にいくと、スコットランドに大敗する可能性もある。そういう意味で予想するのが難しい。

 戦術面以外では、ジョセフは試合で力を付けるのではなく、キャンプで猛練習をする方法を取った。これは一つの賭けだが、明確な方針であり、尊重したい。