きのう、パンダの赤ちゃんが死んだ。
なにしろ上野のパンダである。和歌山では何度(12回)も繁殖に成功しているのだが、とにかく今回は東京・上野である。同じ命でも東京生まれのパンダは命の重さが違うのだ。
案の定、ニュースでは繰り返しその悲劇を報じている。
NHKは速報を流して、さらに夜の番組(ニュースウオッチ9)では「多くの人たちが、その成長を楽しみにしていた矢先の悲報! 誕生から7日目の朝、死亡が確認されたパンダの赤ちゃん。上野動物園はなぜ難しいハードルを乗り越えられなかったか?」とツイッターで知らせるほどの丁寧な報道ぶりを示した。
夕方、MCを務める東京FMの「タイムライン」に出演していた筆者は、そこでもこのニュースがトップで扱われた途端、スタジオで脱力してしまった。
「そんなに大事なことでしょうか?」
今井広海アナがニュースを読み終わった途端、つい、そう口からついて出てしまった。
パンダが大事、何よりもパンダが大事――。
太宰治の「桜桃」の最後のセリフ(子供よりも親が大事)がなぜか心の中でリフレインされた。日本は平和で何よりである。いや日本のテレビだけは平和で何よりである。
この3月から、筆者は新しいメディア作りに精力を注いでいる。3月11日に発表したミドルメディア「NO BORDER」構想は着実に進んでいる。