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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第37回】 2012年7月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

なぜ、人は100歳の言葉に共感するのか?
「普通に生きる」お手本が欲しい

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「アラ90」ブームの理由

 「普通に○○する」ということが難しい世の中になっています。

 例えば、以前にも取り上げたことですが、普通に「働く」。こうした生きていくためのシンプルな人間の営みさえ、なかなか思うようにはならない。

 厳しい就職難の時代、やりがいや自分らしさ、人のつながりが感じられないような仕事に就かざるをえないケースもままあります。自己肯定感を得られないまま、仕事を辞めてしまう人も多い。「誰の役にも立ってないんじゃ、何のために生きているかわからない」。そんな思いを抱え、診療所に駆け込んでくる人たちも少なくありません。

 また、「普通にやりたいことをやる」ことさえ難しくなっているようです。周囲の学生を見ていてもそう。例えば、FacebookなどのSNSで自分の行動を報告する自体が目的化してしまっているようなケース。「いいね!」といってもらえない生活なんてつまらない。そう感じているようにも見えます。

 そこで、自分をアピールできるようなイベントを考えて実践したりする。SNSで自分の行動が支配されてしまうような状況に陥るわけです。

 なんだか、ややこしい世の中です。いつの間にこうなっちゃったんだろう。つくづく考えてしまいます。

 ところが、一方できわめて普通に生きているように見える人たちがいます。誰か? それは、80~90代、もしくは100歳超えの高齢者たちです。しかも、こうした生き方が幅広い年齢層の共感を呼び、脚光を浴びつつあるのです。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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