ノックダウン生産方式が、
自動車業界を縮小均衡へ導く

 12年6月下旬の日本経済新聞で、ニッサンやトヨタが国内生産能力を縮減するという記事(ニッサン15%減、トヨタ10%減)が掲載されていた。その北関東版では、自動車業界は「だが縮小均衡に向かうわけではない」というコメントが掲載されていた。

 しかし、〔図表 1〕を見ると、リーマン・ショック後の収益ゾーン(約5兆円の幅)は、それ以前の収益ゾーン(約7兆円の幅)よりも縮小している。トヨタの収益ゾーンも、約18兆円から約8兆円へと縮小していることを、筆者の手許の資料で確認している。新聞で報道されているのとは裏腹に、自動車業界が「縮小均衡」に向かっているのは明らかだ。データは正直である。

 ニッサンの業績が縮小均衡に向かっている状況を、固定費の推移を描いた〔図表 3〕でも確かめてみよう。

 〔図表 3〕において、赤色で描いた曲線は、タカダ式操業度分析に基づく。すなわち、複利計算構造で解析したものだ。基準固定費と称している。

 リーマン・ショック前の基準固定費は4兆円前後で推移していたが、現在では3兆円前後にある。単純に解釈するならば、材料費や外注費といった変動費が増加していることを意味する。〔図表 1〕の「収益ゾーン」が縮小している要因の一つとして、ノックダウン生産方式(部品の外製化と組み立ての特化)へのシフトを指摘できるであろう。

 〔図表 3〕にある黒色の曲線は、CVP分析(損益分岐点分析&限界利益分析)に基づいて描いたものだ。CVP年間固定費と表示している。これを求めるにあたっては、最小自乗法や勘定科目法などがある。ただし、いかなる計算方法を採用しようとも、共通しているのは1次関数(単利計算構造)である点だ。

 現実の企業活動は「日々複利的な成長」をしているにもかかわらず、それを単利計算で解析しようというのであるから、〔図表 3〕にある黒色の曲線は、見事に崩壊する。11/3(11年3月期)と12/3(12年3月期)のCVP年間固定費がマイナスに転落していることを確認して欲しい。