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G20金融サミットを終えて思う将来のドル安の可能性

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第56回】 2008年11月19日
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 11月15日、日米欧の先進諸国と中国やインドなど新興国の20ヵ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)が、金融安定化へ「必要なあらゆる追加的措置を取る」ことを盛り込んだ首脳宣言を採択し閉幕した。

 マーケットからすれば、新しいことが出てくると、一種の波乱要因でも、期待要因でもあったが、今回のG20を一言で要約すると、来春の第2回会合の約束のみが具体的な成果だったといえよう(次の会議の予定だけが決まることは、会社の会議でもよくあることだ)。

 ただ、20ヵ国で経済問題を協議するという枠組みができたことはそれなりの、変化だ。アメリカ、あるいは欧州の2、3ヵ国が合意するだけで、世界経済に関する問題のすべてが決まる時代ではなくなった。その意味では、アメリカの相対的国力の衰えが印象に残ったG20だった。

 サミットのポイントは、各メディアも掴みかねていたようだ。宣言の中身が列挙された月曜日の報道は別として、宣言がまとまる前の取材を基にした日曜日の各紙朝刊の大見出しに注目すると、興味深い。朝日新聞は「G20 際立つ新興国」と掲げ、新興国の資金力、発言力をクローズアップした。日経新聞は「金融規制強化 原則確認へ」として規制が国際的に統一されていなかったことが問題であり、今後は強化されるとの論調を展開していた。一方、読売新聞は「財政出動の重要性確認」で、毎日新聞は「IMF強化で一致」だった。各紙、一番大きなテーマとして注目した場所が違ったわけだ。

 では、結局何が重要だったのか。筆者は大別すると、金融危機・不況対策(すなわち経済対策)、金融規制、そしてIMFを中心とした国際通貨体制の三つであったと思う。結論から言えば、今回はそれぞれが「総論合意の各論先送り」的な展開となった。初顔合わせということも影響したのだろうが、なんといっても一番大きな要因は、次回の会合には出てこないブッシュ米大統領がホストであり、具体的な内容に踏み込める段階にはなかったということだろう。

短期と長期の利害が
乖離する規制問題

 まず金融危機・景気対策に関して言えば、具体的な成果はなかったどころか、失望させられた。

 読売新聞の主張通り、財政出動、財政的な刺激が大事だということは確かに宣言の中では言っているが、各国の事情に合わせて、それぞれ実施する話になっているため、GDPに対して何%の財政出動に乗り出すといったことが具体的に決まったわけではない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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