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高橋洋一の俗論を撃つ!

構図の似るオスプレイと原発問題を
リスクとリターンの視点で考える

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第44回】 2012年7月26日
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 オスプレイの日本配備について自治体などから反対の声が上がっている。岩国に陸揚げする様子もテレビ報道されるなど、全国的に過熱気味である。

 実は、オスプレイと原発の構図はよく似ていて、人間の作る技術である以上、絶対の安全はあり得ず、リスクは常に存在し、それに対応するリターンとの関係で意思決定せざるをえない。

「主観的な確率」によって
導かれる結論とは

 まず原発であるが、福島第1原発事故以前は、リスクは限りなくゼロに近いモノといわれてきた。過去の事例といっても、スリーマイルズ島やチェルノブイリ事故があるが、別物と処理されてきた。国内では、計算上の話として事故は絶対起きないという安全神話だけが一人歩きしていた。

 しかし現実に事故が起きた。あまり客観的なデータがないときには、人々は「主観的な確率」で判断しがちで、データが乏しい以上やむを得ない選択だ。この主観確率では原発は安全と信じていると、原発は絶対安全という確信に変わる。

 ところが、あり得ないはずの事故が起こると、一転して原発は危ないとなる。この変化は、意思決定に統計学を持ち込んだ「ベイズ理論」でよく説明できる。新しいデータにとって「主観的な確率」が「更新」されたわけだ。(図1参照)

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

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