米大手ヘッジファンド傘下のジャパン・アドバイザリーに、大和証券元社員のドイツ人がインサイダー情報を漏らしたとされる事件。週刊ダイヤモンドは、その“犯人”とされたドイツ人に接触。そこから浮かび上がってきたのは、個人レベルで問題の幕引きを図ろうとしたと取れる姿勢だった。
「なんだこの記事は!? 私がインサイダー情報漏えいの犯人にされているではないか……」
6月30日付の大手新聞朝刊1面に掲載された「大和もインサイダー関与」と書かれた記事。それを読んだ大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)の元社員でドイツ人のホヘンバーグ氏は、怒りにわれを忘れそうになった。
記事の内容は、2010年に行われた日本板硝子による公募増資の際に、投資助言会社ジャパン・アドバイザリーが未公開情報を事前に入手し、インサイダー取引を行ったというもの。そして、インサイダー情報を漏らしたのは、大和の元社員「40代のドイツ人」であると書かれていた。
当時の大和にはドイツ人は1人しか在籍しておらず、記事が指し示すドイツ人が自分であることは火を見るより明らかだった。
また、新聞報道があった週末にはテレビでも同様のニュースが流れた。報道機関に問い合わせると、情報漏えいさせた人物は証券取引等監視委員会(SESC)が特定し、大和が記者に伝えたことが判明。そこで7月9日午前にSESCを訪問したが相手にされず、引き揚げざるを得なかったという。
SESCに限らず、大和からも連絡はなかった。「退職していたので連絡が取れなかった」と大和側は主張するが、電子メールはつながる状態であり、退職後も複数の大和関係者やかつての上司と連絡を取っていたにもかかわらずだ。