「SNSで拡散するぞ!」と脅されるパターン

 「この動画や音声をSNSで拡散するぞ!」と脅されることがあります。周知のとおり、近年、増加中の悪質クレームです。こうしたクレームには、単刀直入に次のように告げてください。

 「お客さまが動画や音声をどのように扱われるかについては、こちらからとやかく申し上げる権利はございません。ただし、実際にSNS等にアップロードされた場合は、それに伴う被害状況に応じて、法に則って、しかるべき措置を取らせていただきます」

 これでたいていの悪質クレーマーは思いとどまります。それでもツイッターなどに上げられてしまったら、弁護士に依頼して削除の手続きを行うまでです。

 ただし、裁判で争うのは、相当な労力となります。そうならないための防衛手段の一つは、お客さまのトラブル対応などの際に、こちらも録音しておくことです。隠し撮りはいけません。お客さまに「お話を正しく記録するために、今から録音させていただきます」と通告したうえで録音するのです。

 「録音なんてどういうつもりだ!」とすごまれても、「お客さまのお話の内容を社内で正しく把握するためです」と伝えましょう。実際に、大手企業のコールセンターのほとんどは「このやりとりは録音されています」と知らせたうえで、対応をスタートしています。後で不利になるようなことは相手も避けたいため、暴言や言いがかりを控えるようになります。

 以上、3種類の悪質クレームを挙げましたが、いずれもあらかじめ想定されるトラブルに応じたフレームを決めておくことが大切です。対応を間違えると、解決までの時間が長引いたり、問題がこじれたりしますので、お店や会社全体でフレームを共有するようにしましょう。