経営 X 人事
なぜ職場で人が育たなくなったのか
【第3回】 2009年12月28日
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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

求める人材像は石川遼!?
若手を潰す「現実離れした過剰な期待」

「若手がなかなか育たない」、「OJTが機能しない」と言われますが、それは若手自身のせいというより、職場の環境が変わったことによる影響が大きい、というのが前回までの内容でした。そこで、変化の大きさとその淵源を考えるために、20年前との違いを描き出してみたのですが、今回は一気に時間を飛ばして、いま現在の話を書きます。「人事の無茶振り」が若手に無用な圧力をかけているのではないか、というお話しです。(ダイヤモンド社人材開発事業部副部長・間杉俊彦)

天才と比較されては
若手もやってられない

 「わが社が求める人材像は……」。採用でよく聞かれるコメントですね。

 ここに最近、ある傾向が見て取れます。

 具体的に言うと、「わが社が求める人材像は○○○」の○○○のところに、ある固有名詞が入るのです。それも特定の人物名を挙げる採用担当者が、激増しています。

 もったいをつけるまでもなく、タイトルからバレバレなのですが、それはプロゴルファーの石川遼くんです。

 高校生にして賞金王。いうまでもなく天才プレーヤーです。石川遼くんが素晴らしいのは、そのプレーだけでなく、マナーであり、言動であり、もう非の打ちどころがない感じがします。

 インタビューでの堂々たる受け答え、その言葉の含蓄の深さ、とても17歳とは思えません。というより、ミドルの読者諸賢、あなたにああいう受け答えができますか? 私にはとうてい無理です。

 自分のことはいいとして、「うちの息子とはえらい違いだ」とため息が出ます。もちろん、息子にそんなことは言いません。言っても仕方がないことですし、息子には息子の良さもある。「世の中にはすごい若者がいるものだなあ」と、感心するだけで十分です。

 「わが社が求める人材像は石川遼みたいな若者」。それがただの冗談であれば、ここでまじめに取り上げるまでもありません。

 しかし、どうも、あながち冗談ではないように見受けられるのです。

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

1961年、東京都生まれ。1986年 、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属され、以後、記者として流通、家電、化学・医薬品、運輸サービスなどの各業界を担当。2000年 週刊ダイヤモンド副編集長。2006年 人材開発編集部副部長。著書に『だから若手が辞めていく』(ダイヤモンド社刊)

 


なぜ職場で人が育たなくなったのか

「なぜ職場で人が育たなくなったか」をテーマに、その背景と要因を考える。そして研究者や識者の知恵を借りながら、「職場で人が育つ方法」を提示していく。

「なぜ職場で人が育たなくなったのか」

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