カレー店「薬味堂」のシャッター前で記念撮影する外国人観光客。今や、西成は、「日本のハーレム」として外国人観光客の間で認知が進みつつあるようだカレー店「薬味堂」のシャッター前で記念撮影する外国人観光客。今や、西成は、「日本のハーレム」として外国人観光客の間で認知が進みつつあるようだ

大阪・西成の「あいりん地区」が、徐々に姿を変えようとしている。「危険な街」というイメージが後退し、観光客が集まる背景には何があるのか。年末年始の西成を歩きながら探った。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

日本人、外国人、老若男女
観光客が集まる西成の今

 Cool Nishinari!――大阪・西成「あいりん地区」(通称・釜ヶ崎)が、今や “観光地”と化している。世界でも有数の荒廃した街のひとつともいわれる西成。その「スラムぶり」が観光資源となり、老若男女、国籍を問わず観光客の関心を集めているのだ。

 2020年の年明け、「ホームレスと共生する街」・西成では、途切れることのない観光客が、非日常感溢れる街の様子を物珍しそうに眺めていた。

 ここ西成では、ペンキで壁やシャッターに描かれた「ダギング」と呼ばれる落書きが至るところに施されている。住民からも評判の悪いこの落書きは、今、地元アーティストが中心となり、ウォールアート(壁面絵画)へと描き替えられつつある。街の雰囲気も明るくなったと地元民や国内外の観光客からの評判も上々だ。「日本一、ディープな場所にあるカレー屋」というキャッチで知られるカレー店「薬味堂」のシャッターも例外ではない。この店のマスターの後輩だというグラフィックアーティストによって描かれたシャッター前で記念撮影する外国人観光客が何人もいた。彼らに西成の街の印象について聞いてみると、皆、目を輝かせてこう言うのだ。「So Cool!!」――。