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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

あなたの部下はアメリカン社員か、アジアン社員か
「共感」と「自尊心アゲ」でヤル気を引き出せ!

――処方箋⑤部下の「自己観」を見極め、接し方を使い分ける

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第5回】 2012年8月8日
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「『20の私』テスト」が暴く
「自分というもの」への認識

 心理学の実験の中でも最もシンプルなものに「『20の私』テスト」というものがある。

 これは、「私は○○だ」という文章を思いつくままに20個書いてもらうというものだ。テストといっても正解があるわけではない。

 たとえば、皆さんならばどのように回答するだろうか。

 多くの人が思い浮かぶのは、「私はサラリーマンです」「私は○○社の営業です」など、自分の所属カテゴリではないかと思う。

 しかし、このテストを(アジア系ではなく欧州系の)アメリカ人に行なうと、少し違った結果になることが知られている。

 彼らが最初にする回答は「私は有能だ」「私は社交性がある」「私は情熱的だ」という「個性」であることが多いのだ。

 もちろん、どちらの国でも個人差はあるので、このパターンに当てはまらない場合も多い。さらに様々な追試で、色々な場面の中でこのテストをやると、回答が変わることもわかっている。

 しかし、どんな場面かを特定せず、まったく白紙の状態で「20の私」テストを行なうと、日米で上記のような違いが出やすいことは、確実にわかっている。

 文化心理学という分野では、この違いを東洋と西洋の「自己観の違い」が原因だと説明している。「自己観」とは「自分がどんな存在か」についての見方で、これが文化によって異なっているというのが文化心理学の考え方だ。

 西洋、特に北米での自己観は、他の人とは違った何かユニークなものが主流で、個性や他人とは違っている自分の特徴をもって自己を認識することが多い。したがって、「『20の私』テスト」でも、まずは自分個人の特徴を述べる。このような自己を「相互独立的自己」と呼ぶ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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