ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

昭和時代の“叱り方”では部下の心が壊れてしまう!
「新型うつ」にさせないアメとムチの使い方(上)

――処方箋③「愛のムチ」を振るう難しさを理解せよ

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第3回】 2012年7月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

「人が勝手に育つ」仕組み
があった昭和時代の企業組織

 皆さんには、仕事を身につける上で「恩師」と呼べる人物はいるだろうか。いるならば、その人は幸福である。いないならば、幸福になるべくそのような人物を探さなくてはならないだろう。

 新入社員として会社組織に入ってきたばかりのときは、どんなに優秀な人でも役には立たないのが当たり前である。その後、研修や実践を通して仕事の中身を理解し、スキルを身に着けていく。膨大なスキルを確実に、そして柔軟に身に着けていくためには、もちろん本人の頑張りが最も重要だが、それをアシストする社内制度や上司のコーチングも重要となる。

 高度経済成長時代以来、業種や組織が細分化し、仕事上必要なスキルの種類も格段に増えている。そんなときに重要となるのが、きちんと仕事を「叩き込んでくれる」上司であり恩師だ。

 このコラムですでに幾度か触れているが、バブル期以前の日本企業は、終身雇用制と年功序列制に基づく、長期的雇用関係が主であった。そのような制度の下では、新入社員が辞めるという事例は稀で、大抵は会社に骨を埋めるつもりで入社してくることが常だった。

 こういった制度の下で、上司が部下に仕事を覚えさせる一番手っ取り早い方法は、「ムチ」を使うことである。これは、懲罰や叱責、減給など、本人にとって経済的、心理的に損になるフィードバックと言える。

 「恩師」と呼ばれるような人は、そのムチの使い方が上手い。ひとことで言えば、「愛のムチ」を使うことができる人だ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

⇒バックナンバー一覧