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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国人訪問団の愚痴からヒントを得よ
高知県・安徽省交流に見る情報発信のネタ

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第117回】 2012年8月16日
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 約2年前のとある日、高知県を訪問した私は、同県観光行政の関係者と空港ですれ違いざまに、数分間の意見交換の時間を持つことができた。インバウンド事業に力を入れ始めた同県は、中国の安徽省と友好姉妹県・省関係を結んですでに20年近く経つ。

 「中国人観光客を呼びたいなら、なぜ友好姉妹県・省関係にある安徽省へ働きかけないのか」と私が質問したら、その関係者は怪訝そうな表情を見せ、「安徽省か?」とそれ以上何も言わなかった。しかし、「そんな貧困なところに働き掛けても意味がないのでは」と、その言わんとする言葉は、私にはそう読めた。

マスコミに大きく取りげられた
高知県の安徽省訪問

 今年の春先、安徽省政府が日本訪問を企画しているのを知って、私は安徽省旅遊局長の高知訪問を働きかけた。旅遊局の関係者から、「高知県には観光地があるのだろうか」と心配そうな質問が送られてきた。

 1994年、両県・省が友好提携関係を結んでから、現在まで観光分野では実際、何の交流も行わなかった。しかも互いを知らなさすぎた。私の提案を受け、安徽省旅遊局長一行が今年4月、同省李斌省長とともに高知県を初めて訪問し、同県観光振興部との間で、観光振興に関する交流のための覚書を交わし、相互に交流を深めていこうと約束し合った。

 7月、高知県観光振興部の久保博道部長を団長とする高知県観光視察団が安徽省を訪問し、省都合肥市ではじめてのプロモーションを行い、同県室戸と同じときにジオパーク(重要な自然遺産を残し、自然に親しむための公園)の認定を受けた同省天柱山ジオパークも視察した。

 雄大な天柱山の景色に圧倒されながら、これからの交流をどう進めればいいのか、いろいろなヒントを得た。高知県観光視察団の安徽省訪問が、中国で大きなニュースになり、50以上のメディアから取り上げられた。観光分野では、高知県がこれまで中国での最大の露出を実現したと言えよう。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


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地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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