これからの人生、右肩上がりの収入アップは望めない。もしかしたら、結婚だって難しいかも――。
今、そんな若者たちの間で新しい住まい方が広がっている。シェアハウスだ。
一方、家賃を滞納し、民間の賃貸住宅を退去していく人々の中では、ネットカフェ難民やホームレスが急増している。
こんな時代に、若者が安心して暮らせる住居はあるのだろうか。シェアハウスや団地など、住まいの現場を歩いてみた。
プールバーにヨガ教室
個性溢れるシェアハウスも
我が家は“押し入れ一段分”――そんな若者が現れつつある。
最近、20~30代の間で広まりつつあるシェアハウス。自分の部屋のほかに、リビングやキッチン、バス、トイレなどを、同居する人々と共有する。冷蔵庫や電子レンジといった備品つきで、荷物が少なくてすむのがいい。敷金、礼金も不要だ。かわりにデポジットと呼ばれる保証金を支払う。
だが、最大の魅力はなんといっても、同居している仲間とのコミュニケーションだろう。
みんなで食事したり、テレビを見たり。一人暮らしでは味わえない家庭的な温かさを得ることができる。また、防犯面からも大勢で暮らす方が安心だ。
シェア住宅検索サイト「オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産」を運営する「ひつじインキュベーション・スクエア」代表取締役北川大祐さんはこう説明する。
「シェアハウスというと安いイメージがありますが、じつはそうでもないんですよ。通常の賃貸住宅とほぼ同じ価格帯のものも増えている。それでも人気があるのは、デザイン、コンセプトなどにそれぞれが工夫を凝らしているから。各部屋に水回りを造る必要がないため、オーナーにしてみれば初期投資が抑えられる。その分、共有部分の内装、管理などにおカネをかけることができるわけです」
同サイトが紹介するシェアハウスは、従来の画一的な賃貸住宅にない魅力が溢れている。
プールバーのある物件もあれば、ヨガスタジオ付きのところも。おしゃれな古民家風のシェアハウスもある。はたまた、自己研鑽意欲の高い高収入層に絞って入居者を募集し、互いの人脈づくりを応援する物件なども――。特徴があればあるほど、同じ志向を持つ人が集まり、輪が生まれやすくなる。