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格差社会の中心で友愛を叫ぶ

偽装結婚に養子縁組…
「戸籍を売りたい人々」がハマる危険すぎる罠

西川敦子 [フリーライター]
【最終回】 2010年6月4日
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 「戸籍売ります。買ってくださる方、メールください」
 「今の相場っていくらぐらいですか」

 インターネットのとある掲示板では、あたかも中古車や家具を譲り合うような調子で、戸籍売買のやりとりが交わされている。

 差別の温床になる、という批判は少なくないものの、日本人にとってはアイデンティティともいえる「戸籍」。それが気軽に売り買いされているのは、いったいなぜなのか。

 知られざる「戸籍ビジネス」の裏側を覗いてみた。

相場は100~150万円?
偽装結婚の内幕とは

 「言っておきますが、自分のケースはいわゆる戸籍ビジネスじゃありませんよ。ブローカーが間に入ってるわけじゃないんだから」

 取材に応じてくれた男性は繰り返しこう強調した。

 現在40代で金融関連業界で働いている。最近、国際結婚した。同年代の“妻”は韓国人。故郷に息子を置いて来日している。性格はやさしく、彼とは気が合っているとのこと。

 「出会ったきっかけですか?友人から紹介されたんですよ。日本人男性と結婚したいっていう韓国人がいるけど、どう?って。悪くない話だ、と思いましたよ。30代のとき一度結婚したけど、3年で別れていますからね。それからざっと7、8年は独身生活を続けていたわけだし」

 初対面の筆者を警戒したのだろうか。男性の表情は最初やや固かった。だが話が進むにつれ、通常の結婚とは違うことを、じょじょに明かしてくれた。

 「入籍する前に半年ほど同居しましたね。国際結婚は手続きが面倒ですから。何度も何度も入国管理局へ足を運ばなきゃいけない。ベッドはダブルかシングルか、相手の歯ブラシは何色か、なんてこともしつこく尋ねられる。本当に一緒に暮らしているのかどうかチェックされるわけです。お互い忙しいから、事務的なことはすべて専門の弁護士に依頼しましたけどね。

 えっ、入籍後ですか?彼女は近所に引っ越していきましたよ。今、近くの飲食店で働いています」

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


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