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出口治明の提言:日本の優先順位

成長か否か、社会保障維持か否か
政界再編の基軸を問う

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第59回】 2012年8月28日
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 8月8日、野田首相と野党第1党の自民党・谷垣総裁は党首会談を行い、「近いうちに」解散・総選挙を行うことで合意した、と伝えられている。「近いうちに」の時期を巡っては、10月解散、11月中・下旬投開票を軸に諸説が飛び交っているが、総選挙が行われれば、「大阪維新の会」や「国民の生活が第一」など、第3極を目指す動きとも相まって、政界の一層の流動化・再編は避けられないものと思われる。

 仮に政界が再編されるとした場合、有権者にとってどのような再編が望ましいのか、実現の可能性はさておき、理想的な(≒わが国の現状に照らして最も望ましいと思われる)再編の基軸について考えてみた。

構造改革の是非は
もはや対立軸ではない

 20世紀後半のほぼ半世紀にわたるわが国の奇跡の復興を支えた条件は、①冷戦構造、②高度成長、③人口の増加、の3点であったと考えられる。21世紀に入ると、この3条件は、①グローバリゼーション、②低成長、③少子高齢化、と180度様変わりした。

 これだけ外部環境が激変した以上、20世紀後半の社会・経済システムを「構造改革」しないで済ませられるはずがないと考える。要するに、20世紀のわが国の繁栄を支えたレガシーシステムを温存し、あるいはその延長線上で、明るい青写真が描けるはずがないのだ。そうであれば、構造改革を行うことの是非は、もはや政策の対立軸とはならないのではないか。構造改革を行うことは、むしろ与件として政策の対立軸を想定することが望ましいと考える。

第1の対立軸は
成長か否か

 では、構造改革を与件として考えたとして、政界再編の対立軸をどこに求めるべきか。私見では、先ず「成長か否か」を問うことが何よりも重要だと考える。言い換えれば、引き続き市民の生活水準の維持・向上を目指すのか、それとも生活水準を引き下げてもいいと考えるのか、ということである。GDP(より正確に述べれば、1人当たりGDP)の成長を目指すのか、ブータンのように全く別の尺度を取り入れるのか、と言ってもいいだろう。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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