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ミャンマー その投資ブームは本物か

投資加速のカギを握るティラワ経済特別区
国家プロジェクトの裏で丸紅が直面する苦労

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第4回】 2012年8月30日
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 前回は、駐日ミャンマー連邦共和国大使キン・マウン・ティン氏による、日本企業に対するミャンマー投資への高い期待と、彼が期待する日本からの投資対象業種についてご紹介した。

 一方で、日本企業はその熱い思いにどのように応えようとしているのだろうか。日本企業側から見て、投資対象として魅力に思う業界はどこなのだろうか。この2点の疑問に答えるために、数多ある日本企業の中でも、商社のミャンマー事業戦略を見ていきたい。

 なぜなら商社は資源開発やインフラ整備、食料、小売りに至るまで幅広い取扱い業種を抱えているなかで、彼らがどの業種に注力しているかを見ることで、その投資対象業種の魅力の濃淡が見えてくるからだ。また、彼らから見てのミャンマー進出におけるハードルについても聞いてみたい点だ。

 今回は商社の中でも、民政移行に向けて比較的早い段階からミャンマーに対して積極的にアプローチを開始した丸紅の、市場業務部部長代理兼アジア太平洋チーム長の森本康宏氏に、彼らのミャンマー戦略について話を伺った。森本氏は、丸紅におけるミャンマーを含むアジア地域の市場調査を統括されており、ミャンマーにおいても昨年から数度にわたって現地を視察し、現在の政治経済面の変化の流れを追っている。

 インタビューの内容に入る前に、丸紅のミャンマーにおける今までの立ち位置を振り返っておこう。

 丸紅は1942年にミャンマーに駐在員事務所を開設し、同国における貿易や投資へ積極的に関与してきた。同国の水力発電所の建設に幅広く関わった実績を有し、1960年には日立製作所と組んで同国最大の「バルーチャン水力発電所」を建設。これは日本の戦後賠償の第1号で、日本とミャンマーの緊密な関係を象徴する案件だ。

 2003年に米国が経済制裁を発動してから新規ビジネスを中断していたが、10年度から社内の東南アジア諸国連合(ASEAN)戦略委員会のなかでミャンマーを注力国として事業化の可能性を探ってきた。昨年11月には、勝俣宣夫会長がミャンマーを訪問しテイン・セイン大統領と会談を行っている。また今年の3月にはネピドー事務所を開設し、外資初となる首都での常駐拠点を設置した。

民主化が成功するか誰もわからない
政権の安定がビジネス継続の条件だ

 ミャンマー投資は熱を帯び、「バブル状態」と表現する者もいる中、すでに70年以上前からミャンマーでビジネスを手がける丸紅は、いたって冷静だ。

――丸紅として現在のミャンマーの変化についてどう見ているのか。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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