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スマートフォンの理想と現実

ゲームのルールは変わった――アップルvsサムスン訴訟の評決が意味するもの

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第32回】 2012年8月30日
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 iPhone5の発売が来月半ばと予想される中、スマートフォンを巡る大きなニュースが飛び込んできた。

 米国カリフォルニア州北部連邦地方裁判所は、アップルとサムスンのスマートフォンをめぐる特許訴訟で、アップルの損害額として約10.5億ドル(約820億円)を認定した。

 陪審評決では、アップルは7件の訴えのうち6件が認められ、サムスンの5件の訴えは退けられた。懲罰的賠償金を含む最終的な損害賠償額などは今後明らかにされるが、アップルの訴えが全面的に認められた形となった。

 これを受けて、27日のニューヨーク株式市場では、アップルの株価が一時680ドルと過去最高を更新、時価総額は約50兆円近くとなった。一方、サムスンの株価も、27日の韓国株式市場で約7.5%急落し、同社の時価総額は同日だけで約12.5億ドル減少。さらにグーグルの株価も2.41%下落と、正しく明暗を分けた。

 以前から注目されてきた本件だが、「アップルの圧勝」がここまで鮮明に打ち出されるとは、正直予想していなかった。もちろんサムスン電子側も当然上訴するだろうから、本件はこれにて決着というわけではない。

 しかし今回の評決が作り出した潮流は、単に両者の関係だけではなく、日本を含めた世界中の今後のスマートフォン普及において、極めて大きな転換点となるだろう。そこで今回は、現時点で分かる限りだが、日本市場も含めた影響分析を試みる。

下請け(孫請け)化するサムスン

 まず理解しなければならないのは、アップルとサムスンの複雑な関係だ。

 今回の係争や製品市場だけを見ると、アップルとサムスンはともに最終製品で市場を争うライバル関係のように見える。実際今回の評決を受けて、アップルはサムスンのスマートフォンのうち、「ギャラクシーS2」「ドロイド・チャージ」など、合計8機種の販売を、米国で差し止めるよう求める方針を明らかにしている。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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