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スマートフォンの理想と現実

YouTube、iTunes、Googleの存在感、
まだ未成熟なユーザーの情報セキュリティ意識
――「情報通信白書」に見る日本のスマホ最新事情

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第30回】 2012年7月19日
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 平成24年(2012年)版の情報通信白書が公表された。政府が発表する白書というと、何やら難解な書物を想像するかもしれないが、特に近年は「読み物」としても楽しめる内容となっている。少なくとも本連載を定期的にお読みいただいているような方であれば、ぜひ一読をおすすめする。

 もちろん、データブックとしても充実している。政府が発表する公式な文書でもあるだけに、責任は重大だし、それだけに正確性も高い。実は私も前職時代に、白書の編纂をお手伝いしたことがあるのだが、いまでも思い出すくらいしんどい作業の連続であり、そしてその経験が現在の私の血肉にもなっている。

 まだ一昨日(7月17日)に公表されたばかりでもあり、私もまだ精読はできていない。しかし通信業界で仕事をする人間として、まずはざっと目を通さねばと思い、パラパラとめくっていて、おもしろいデータや分析を見つけた。そのいくつかをご紹介したい。

生き残るサービス、
生き残れないサービス

 ひとつは、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)からスマートフォンへの移行に伴う、利用サイトの変化だ。どういった分析で、どのような結果が示されているのか。まずは白書の本文を引いてみよう(改行は筆者による)。

『現スマートフォン利用者に対し、上記の8サービス項目について、スマートフォンへの移行前後でどのように利用サイトが変化したかを質問した。

 その結果を基に、利用率と上位3サービス(プラットフォーム)の集中度(HHI)をみると、動画配信・音楽配信・検索については、利用率・集中度ともに大きく拡大していることがわかる。特に音楽配信については、iPhoneユーザーのiTunesへの移行の影響が大きく、エコシステム構築の戦略が奏功していることがうかがえる。

 他方、電子商取引、SNS、オンラインゲームは、利用率は拡大しつつ、集中度は横ばいないし低下傾向にあり、フィーチャーフォンでの状況より競争が活性化していることがうかがえる。』

 たとえば、「何か検索したいと思った時、利用する検索サイトが、フィーチャーフォンとスマートフォンでどう変化した/しなかったか?」という調査である。これを、検索サービス、SNSサービス、音楽配信サービス、オンラインゲーム、オンラインショッピング、動画配信サービス、電子書籍サービス、電子新聞サービスの8分野で、それぞれ調べた。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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