9月19日にJALの株式が再上場されます。企業破綻の淵にまで追い込まれたJALが財務上は世界一優良な航空会社に生まれ変わっての再上場ですが、以前このコーナーでも指摘(第188回参照)したように、それは法的整理と巨額の公的資金注入の併用という過剰な政府支援の結果に他なりません。そして、JALの再生と再上場は、リーマンショック後も政府の支援を受けることなく自力で経営を行ってきたANAとの競争上の不公平を生じさせています。
航空産業を所管する国交省がこの不公平を是正し、公正な競争環境の実現を通じて航空産業の競争力を強化することは、日本の産業政策にとって重要な課題であり、過去1ヵ月の間にそれに関連したいくつかの動きがあったのですが、なぜか新聞などのマスメディアではそれがほとんど報じられていません。
そこで、今回はこれらの動きを紹介したいと思います。
国会での集中審議にて
公取委員長も認めたJAL支援の問題
JAL問題は自民党が問題視しており、これまでも国会で追求をしてきました。そこで自民党は、EUが制定しているような公的資金支援ガイドラインを策定すべきと主張しています。
このガイドラインは、EU条約第107条が「加盟国は公的資金支援で特定の企業を優遇し競争を歪めてはならない」と規定しているのを受けて定められており、EU条約の例外として国が特定企業を支援する場合に、支援を受ける企業の生産能力の削減、市場シェアの削減、不当廉売の禁止などの厳しい条件が課されています。
自民党は、JALの再生に当たってもこのガイドラインと同様の厳しい規制を課すことで、自力で頑張っている企業が競争上不利を被らないようにしようと考えているのです。
8月20日に国会でJAL問題に関する集中審議が行なわれ、この点についても議論されました。そこでどのようなやり取りがされたかほとんど報道されていませんが、そこでは、競争政策を所管する公正取引委員会の竹島委員長が概要以下のような答弁を行っています。