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岸博幸のクリエイティブ国富論

報道されないJAL再生の問題点

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第199回】 2012年9月7日
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 9月19日にJALの株式が再上場されます。企業破綻の淵にまで追い込まれたJALが財務上は世界一優良な航空会社に生まれ変わっての再上場ですが、以前このコーナーでも指摘(第188回参照)したように、それは法的整理と巨額の公的資金注入の併用という過剰な政府支援の結果に他なりません。そして、JALの再生と再上場は、リーマンショック後も政府の支援を受けることなく自力で経営を行ってきたANAとの競争上の不公平を生じさせています。

 航空産業を所管する国交省がこの不公平を是正し、公正な競争環境の実現を通じて航空産業の競争力を強化することは、日本の産業政策にとって重要な課題であり、過去1ヵ月の間にそれに関連したいくつかの動きがあったのですが、なぜか新聞などのマスメディアではそれがほとんど報じられていません。

 そこで、今回はこれらの動きを紹介したいと思います。

国会での集中審議にて
公取委員長も認めたJAL支援の問題

 JAL問題は自民党が問題視しており、これまでも国会で追求をしてきました。そこで自民党は、EUが制定しているような公的資金支援ガイドラインを策定すべきと主張しています。

 このガイドラインは、EU条約第107条が「加盟国は公的資金支援で特定の企業を優遇し競争を歪めてはならない」と規定しているのを受けて定められており、EU条約の例外として国が特定企業を支援する場合に、支援を受ける企業の生産能力の削減、市場シェアの削減、不当廉売の禁止などの厳しい条件が課されています。

 自民党は、JALの再生に当たってもこのガイドラインと同様の厳しい規制を課すことで、自力で頑張っている企業が競争上不利を被らないようにしようと考えているのです。

 8月20日に国会でJAL問題に関する集中審議が行なわれ、この点についても議論されました。そこでどのようなやり取りがされたかほとんど報道されていませんが、そこでは、競争政策を所管する公正取引委員会の竹島委員長が概要以下のような答弁を行っています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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