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China Report 中国は今

コスト高騰と過当競争で賄賂の捻出も困難に――
ついに限界?中国ビジネスに音を上げる経営者たち

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第107回】 2012年9月7日
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 景気が鈍化する中国で、中国ビジネスに音を上げる経営者が続出している。「この先、中国で商売するのは困難だ――」、そんな悲観論が労働集約型の製造業のみならず、ホテルや飲食などのサービス業からも上がっている。中国ビジネスに旨みはなくなってしまったと訴える、上海の飲食業界をクローズアップした。

倍々ゲームのコストと
過当競争に上がる悲鳴

 中国人Wさんは最近、浙江省で長年経営していた飲食店を閉じた。最大の理由は2010年以降、3倍にも跳ね上がった人件費である。それに続くのが賃料の高騰だ。ここ数年で2万元から3万元へと5割増しになり、そのうえ原材料価格も上昇した。

 コストの上昇は販売価格にも連鎖する。どうしたって単価を引き上げないことには、バランスが取れない。早速、メニューの表示価格を改訂しようと取りかかるが、ところがこれがそう簡単にはいかない。

 周辺の同業者がどんどん値下げ攻勢を仕掛けて来るのだ。しかも、日本で見るような1割引き、2割引きというようなものではない。いきなり「半額」あるいは「それ以下」をぶつけてくるのだ。

 「もはや客の奪い合い。同業者は半額に近いディスカウントを可能にするクーポン券を発行して客を囲い込む。こんな環境でまともな商売ができるわけがない」と、Wさんは白旗を振る。

 他方、中国の飲食業経営は行政がらみの費用負担にも泣かされている。

 消防局は「これも問題、あそこも問題」と店舗の構造上の問題を指摘する。その基準は「厳しくて守れない」という業者泣かせのもので、解決するには賄賂を贈るしか方法はない。

 衛生局は「果物を扱うなら専用の部屋を作れ」という基準を突きつける。ガラス張りの専門のスペースを確保するなら、果物をカットしてもいい、というのだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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