「あのー、スミマセンが、質問です。大学の専門と職種が違っていても、日本ではダイジョウブなんでしょうか?」

 たどたどしい日本語で、思い切って手を挙げて質問するのは、中国出身の趙くん(仮名、24歳)だ。

 冒頭の光景は、7月下旬、デジタル・ハリウッド大学秋葉原キャンパスの一室で、留学生向けの就職講座が開かれたときのひとコマだ。日本での就職を希望する外国人留学生数十人が集まった。

 この日、講師を務めたのは日本データビジョン国際人財事業リーダーの岩切進悟氏。日本での就職活動(就活)のタイムスケジュールや日本企業が求める人材、外国人留学生の就職状況などについて、講演を行なった。

 岩切氏によると、「ここ数年、日本での就職を希望する外国人留学生数が急増している」という。

在留資格を変更して就活に臨む
外国人留学生は、1年で24%も増加!

 それは、法務省のデータにもはっきりと現れている。在留資格を持つ外国人留学生数(2008年末現在)は13万2460人に上っており、留学後、日本で就職するために在留資格の変更を許可された人は、昨年1年間で1万262人と前年比24%も増加している。

 また、06年の在日外国人労働者数は75万5000人と、10年前の37万人に比べて約2倍に増加した。特に人文知識・国際業務、技術分野でビザを取得している外国人が際立って増えているのがわかる。

 しかし、「日本での就職を希望しつつも日本語の壁があり、日本人のネットワークから外れるというハードルがある。日本人大学生と同等の就職情報を集めることができず、就活に苦戦している留学生がまだまだ多いのです」(岩切氏)。

 実際、日本で学ぶ外国人留学生数は13万人いても、日本での就職を希望する学生はまだ2万人ほどしかいない。さらにその中で、日本で就職できた人は9500人程度。現状では、多くの学生が日本での就職を実現できないまま、母国に帰国してしまっているのだ。